「研究紹介」 成長エンジンはお弁当 冷凍食品「業界50年のヒット商品から未来を探る」 生活協同組合研究 2020年3月号から
2020.04.03
新型コロナウイルス感染拡大の影響で、一時は店頭から姿を消した家庭用冷凍食品。今や日常生活に不可欠な存在だが、本格的に登場したのは高度経済成長期の1960年代後半だ。過去50年間のヒット商品を紹介しながら時代背景や企業の開発努力を解説、将来を展望する。
日本冷蔵(現ニチレイ)は68年にミニハンバーグを発売、69年に日本冷凍食品協会が設立され、論文の筆者である山本純子氏が34年間勤務した専門紙「冷凍食品新聞」も同年創刊だ。
その後、冷凍食品はうどん、ピラフ、ピッツア、炒飯など品目を増やし進化しながら市場を拡大した。長寿商品も多く、前述のミニハンバーグは改良を重ねて今でも販売され、72年に味の素が冷凍食品産業に参入した時の「ギョーザ」は、「油なし」(97年)、「油・水なし」(2012年)、野菜国産化(14年)、肉も国産化(18年)と進化し続け、人気商品の地位を確保している。
日本の家庭用冷凍食品市場の「成長エンジン」は、弁当向けの商品群であり、「小ぶり」「複数」「小分け」という他国にはない独特な発展をしたという分析は鋭い。「炒飯戦争」「から揚げバトル」と呼ばれる企業間の熾烈な開発競争も市場の拡大に寄与した。将来の課題として低価格帯の商品が大多数であることを指摘している。
(写真は山本純子氏)