九州大学発の新興カイコ、ベトナムでブタ用ワクチン大規模実証 NNA
2025.02.14
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蚕を活用したワクチンを開発する九州大学発の新興企業KAICO(カイコ、福岡市)は1月30日、ベトナムの畜産大手ダバコ・ベトナム・グループの農場でブタ用経口ワクチン「カイコ・パウダー」の大規模実証試験を開始したと発表した。飼料に混ぜて食べさせるだけで感染症の予防が見込めるため、ワクチン投与のコストと手間が削減できると期待されている。(写真:ブタがカイコ・パウダー入り飼料を食べている様子、KAICO提供)
カイコ・パウダーは、感染症予防が期待できるブタ用飼料添加物としてカイコが独自開発した。日本の約2倍の養豚規模を誇るベトナムでの販売を目指し、ベトナム農業・農村開発省で飼料添加物としての登録を申請。登録が完了したことから、2024年10月にダバコの農場の2000頭を対象に実証実験を開始した。投与の簡便性と体重増加などの有効性・安全性を確認することを目的としている。
カイコは、蚕で作ったタンパク質抗原を使ったヒト用・動物用の経口ワクチン開発を行っている。同社は昨年、ベトナムは養豚数が2000万頭に上り、養蚕業があり将来的に現地生産も見込めることから、同国でブタ用経口ワクチンの販売を目指すと発表していた。
カイコ・パウダーは、常温での保管・流通が可能。ブタ1頭1頭にワクチン接種をする作業時間と注射器などの資材が不要となるため、ワクチン投与コストの大幅な削減につながる。子豚を1頭ずつ捕まえて注射を行う作業は作業員、子豚ともに精神的、肉体的な負担を伴うため、導入が進めばこれらの負担も取り除くことができるとして期待されている。(NNA)
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