結婚式にタピオカミルクティー 若者の酒との付き合い方に変化 中国 NNA
2024.12.05
結婚式の参列者に酒ではなく、タピオカミルクティーを提供――。中国の若者の間で酒との付き合い方に変化が出ている。ライフスタイルの変化などに伴い、大量の飲酒を避け、酒自体を飲まない人も一定数存在する。結婚式のように従来酒が不可欠だったシーンでも代替品を用意する動きが広がっている。(写真:ミルクティーなどを酒の代替品として用意する動きが広がる=上海市)
会社を経営する父を持つ上海在住の中国人女性(20)は、「父親世代の酒の飲み方が嫌いだ」と言い切る。
この女性はいう。自身が子どものころは毎日酔っぱらって家に帰ってくるし、帰って来たとたんに吐くこともしばしば。宴会では父が知らないおじさんとともにアルコール度数の高い酒を一気にあおり続ける姿にあぜんとした。大人になった今は"飲みニケーション"の重要性も少し分かるが、正直私はああはなりたくない――。父親が聞いたら泣き出してしまいそうな辛辣(しんらつ)な言葉を女性は淡々と吐き出した。
この女性のように、旧世代の飲み方に否定的な若者は実際に多い。そして、これまで祝い事に必要不可欠だった酒を排除して、代替品を用意する動きも出ている。
第一財経日報(電子版)によると、広西チワン族自治区南寧市に住む1990年代生まれのカップルは自身らの結婚式に酒類を用意せず、代わりに茶系ドリンクチェーンの「喜茶(ヘイティー)」から各種ドリンクを320杯購入して参列者に配った。喜茶は結婚式用にカスタマイズした商品を用意したという。
この日招待したのは普段酒をあまりたしなまない若い世代ばかり。新郎は「参列者に喜ばれるモノを提供した方がいいと考えた。それにより個性的な式にしたかった」という。
90年生まれ以降の世代が結婚適齢期に入る中、結婚式に茶系ドリンクを用意するカップルは増えているとされる。この流れを商機につなげようと、一部のブライダル企業は茶系ドリンクチェーンと提携して、タピオカミルクティーなどの提供を式のサービスに盛り込む動きもある。
茶系ドリンクチェーン「霸王茶姫」は、結婚式のほか、大勢の友人が集うパーティーや企業の社内イベントなど従来酒を提供する場でも茶系ドリンクの引き合いが高まっていると説明した。
■「アカデミックバー」が出現
とはいえ、若い世代全てが酒嫌いというわけではない。「むちゃな飲みになる取引先との宴会は会社に言って一切断っているが、友人との飲み会は積極的に参加する」(上海在住の25歳男性)というように、従来とは飲み方が変わっただけだと話す中国人の若者は多い。
現在は、飲みながら学術的(アカデミック)な話題を議論するバーが若者の間で人気だ。今年に入り、北京市や上海市、広州市などの大都市では同様のバーが多く出現している。
バーでは大学の博士課程者や若い学者らが自身の研究結果を講演し、大学生や若い社会人が"聴講"するスタイル。酒を酌み交わしリラックスした雰囲気の中、議論したり交流したりするのが受けている。「現代の若者の文化サロン」と表現する声もある。(NNA)
<メモ>
若者の間ではアルコール度数が低く、飲みやすい酒に需要が集まる。
中国メディア36Kr傘下の調査機関、後浪研究所が今月発表した中国の若者約800人(90年生まれ以降が全体の9割)を対象とするアンケートによると、よく飲む酒の種類(複数回答可)は「ビール」(51.1%)、「果実酒」(44.9%)、「カクテル」(41.8%)、「白酒」(31.8%)の順だった。「清酒」は10位の18.3%、「焼酎」は13位の8.0%。「酒を飲むのが嫌い」との回答は11.1%となった。
年代ごとに最も好む酒の種類が明確に分かれ、85~89年生まれは白酒、90~94年生まれははビールで、95~99年生まれは白ワイン、2000年生まれ以降はカクテルだった。若い層は口当たりの甘い酒が好まれる傾向が出た。
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