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地域づくり支える学生マンション  沼尾波子 東洋大学教授  連載「よんななエコノミー」

2024.08.12

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地域づくり支える学生マンション  沼尾波子 東洋大学教授  連載「よんななエコノミー」の写真

 東京都千代田区神田淡路町にユニークな学生マンション「ワテラススチューデントハウス」がある。ワテラスアネックスの14・15階部分にあるこのマンションは、全部で36室のワンルームが用意され、ラウンジも完備。低廉な家賃設定により学生の居住を推進するとともに、彼らにさまざまな地域活動への参加の機会を提供し、学生たちが地域づくりをサポートする場を創出している。(写真:ワテラスの正面。右側が学生マンションのあるワテラスアネックス)

 ワテラスは、千代田区立淡路小学校の閉校を契機とし、小学校跡地を中心とした周辺街区の再開発事業として整備された。淡路町二丁目西部地区市街地再開発組合が結成され、この地区の土地を広く所有する安田不動産株式会社を中心に事業を進め、2013年4月にワテラスが誕生した。

 ワテラスは、高さ164・8メートルを誇る「ワテラスタワー」と「ワテラスアネックス」の2棟から成り、オフィス、レジデンス、アトリウム、地域交流の場としてのコミュニティー施設、スーパーマーケットなどの商業施設、学生マンション、四季の彩りを楽しむことができる公園で構成されている。

 神田淡路町界隈は、数々の大学キャンパスが立地する地域だが、家賃が高いことから近隣に居住する学生は少ない。スチューデントハウスは学生を地域の活力として呼び込むために、約20平方メートルのワンルームを近隣相場より3~4割安価な月額7万8千円(管理費込み)で提供する。入居できるのは満17~25歳の学生で、一般社団法人淡路エリアマネジメントの学生会員として地域活動に参加することが求められる。淡路エリアマネジメント事務局が、学生と地域住民、町会、企業などコミュニティーの関係者を継続的につなぐ役割を担う。季節ごとにマルシェやガーデニング、清掃活動などさまざまな地域交流活動があり、学生たちはこれらの活動に楽しみながら参加している。

 実は、学生による地域行事への参加はポイント制という形で運用されている。必修活動として神田祭や太田姫稲荷神社例大祭、防災訓練への参加があり、選択必修として町会行事や千代田区体育大会、夜警、その他、選択活動として先述したガーデニングや清掃などがある。個々の活動にポイントが付けられており、年間20ポイント以上の取得が求められている。

 学生主体で企画運営するプロジェクトも実施されている。これまでにもブックフェスティバルや防災イベントなど、入居学生の興味ある分野でイベントが行われてきた。

 現在、2025年度の入居学生募集が行われている。地域コミュニティーの一員として関わりを持ちながら、神田で都心居住できる貴重な機会が学生に提供されている。

(Kyodo Weekly・政経週報 2024年7月29日号掲載)

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