「子どもに農業を勧めたい」は2割 所得の向上が課題 農林中金が調査
2024.03.29
農林中央金庫が実施した「日本の農業の持続可能性に関する意識調査」によると、「子ども世代に農業を職業として勧めたい」とする回答は、消費者で15.9%、生産者で20.8%にとどまった。「勧めたくない」は、消費者で29.6%、生産者では46.4%と半数に迫った。
農業を職業として勧めたくない理由として、消費者では、「収入が安定しない」(71.3%)が最も多く、次いで「天候や災害の影響を受けやすい」(66.9%)だった。生産者では「所得水準が低い」(75.3%)が最も多く、次いで「収入が安定しない」(72.8%)「天候や災害の影響を受けやすい」(69.0%)が続いた。
「勧めたい」とする理由としては、消費者では、「日本の食を支える誇りがある」(70.0%)が最も多く、次いで「自然環境の中で仕事ができる」(64.2%)だった。生産者では「自然環境の中で仕事ができる」(75.2%)が最も多く、次いで「自分のペースで仕事ができる」(70.4%)「日本の食を支える誇りがある」(63.7%)の順だった。
農業の職業としての魅力を高めるために必要な課題として、消費者、生産者ともに「賃金を上げる」(消費者63.1%、生産者54.2%)が最も多かった。
また、国産の食品・食材の購入について、消費者の(79.2%)が「国産の方が良い」と回答し、その理由のトップは「安全性」だった。一方、国産生鮮食品・食材の供給・生産の未来に不安を感じている人は、22.6%にとどまり、国内生産に対する信頼が高いことを示した。
生産者の65.2%が、農業経営を継続する上でなんらかの課題を抱えており、具体的には「農業労働力の派遣や人材確保の支援」「農業機械や設備のレンタルサービスや、これらの導入に向けた助成などの金融支援」が上位を占めた。
調査は、2024年2月に、全国の消費者と生産者それぞれ約1000人(消費者1030人・生産者1084人)を対象にインターネットで実施した。
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