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シンガポールのウマミ、培養魚肉を世界に(上)  24年末にも量産・販売を開始  NNA

2023.12.28

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シンガポールのウマミ、培養魚肉を世界に(上)  24年末にも量産・販売を開始  NNAの写真

 希少で養殖が難しい魚類の培養肉の開発を手がけるシンガポールのウマミ・バイオワークス(旧ウマミ・ミーツ)が製品開発を加速させている。2024年末から25年初めにかけて培養魚肉の量産・販売を開始する予定だ。日本をはじめとする海外の企業や研究機関との連携も積極的に進めている。創業者であるミヒル・ペルシャド最高経営責任者(CEO)に、現在の開発状況と今後の事業展開を聞いた。(写真:ウマミ・バイオワークスのミヒル・ペルシャドCEO=同社本社オフィスにて、NNA撮影)

 ――社名をウマミ・バイオワークスに変更した理由は。

 培養肉を開発しているが、旧社名にある「ミーツ(肉)」という言葉では事業内容を正確に表していない。一般的な食品の製造・加工企業ではなく、フードテック(先端食品技術)企業であるということを明確に示す必要があると考え、今年8月に社名を変更した。

 ――ウナギやハタの培養魚肉の商用化に向けた状況は。

 ハタは、製品化の一歩手前まで来ている。製造プロセスに関してシンガポールの規制当局の承認を待っているところだ。ウナギは製造に関するデータなどの情報を年末までに当局に提出する。日本の企業と共同でウナギの培養魚肉を開発する計画も進めている。

 ――新たに開発に取り組んでいる培養魚肉は。

 絶滅が危惧されており、かつ養殖が難しい培養魚肉の開発に力を入れている。日本の北里大学とは新しい種類の培養魚肉を開発している。日本以外の企業とも新製品の共同開発を進めている。例えば、ヒラメやカレイの仲間だ。マグロ種の培養魚肉開発の可能性も模索している。

 消費者は通常、培養魚肉よりもコストが低く、低価格な養殖魚を選ぶだろう。培養魚肉が環境への負担が少ないと主張しても多くの消費者に選んでもらうのは厳しい。ただ養殖が難しく需要がある魚であれば、高コストであっても培養魚肉が市場で受け入れられる可能性がある。

 ――3Dプリント技術を使った培養魚肉の商品化は順調か。

 (培養肉製品の開発・製造を手がけるイスラエルの)ステーキホルダー・フーズ(Steakholder Foods)と協業し、3Dプリンターによるハタの培養魚肉の製品化を進めている。生産量は現在1日数百キログラムだが、同量を1時間で生産できるようにすることを目指している。

 さまざまな形状を作る技術も開発している。ハタの魚肉のような柔らかい培養魚肉には、3Dプリンター技術による製品化が最も適している。マグロのように弾力や厚みがある魚肉などには他の手法があるかもしれない。

 ――量産計画は。

 製品はマレーシアの契約工場で生産する。生産体制が整うのは24年末の予定だ。シンガポールの規制当局からの販売認可が下りるのは24年末か25年の13月期になりそうだ。

 ――今後の事業の方向性は。

 どの国や地域にも食用肉を扱う大企業が存在する。われわれの戦略は、そのような企業が培養魚肉の生産に乗り出したときに当社の技術を使ってもらえるようにすることだ。例えれば、米国のインテルのような企業になりたい。インテルの中央演算処理装置(CPU)が多くのパソコン(PC)メーカーに採用されているように、多くの企業に採用される培養魚肉技術の開発を目指している。(聞き手:大友賢)

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