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地域ぐるみで考える時代に  空き家、20年で5割増  沼尾波子 東洋大学教授

2022.12.05

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地域ぐるみで考える時代に  空き家、20年で5割増  沼尾波子 東洋大学教授の写真

 住宅・土地統計調査によれば、空き家は2000年の576万戸から20年の849万戸へと約1.5倍に増加している。その中でも、別荘などの2次利用や、賃貸・売却予定などがない「その他空き家」が349万戸あり、これが管理不全になるリスクが大きい空き家とされている。

 この「その他空き家」は全国住宅ストックの約5.6%を占めるが、都道府県別にみると、6県で10%を超えている。こうした空き家の7割弱が木造一戸建てであり、また、3割程度が腐朽・破損がある住宅だという。

 21年3月に閣議決定された政府の住宅生活基本計画では、簡単な手入れにより活用可能な空き家を50万戸程度利用し、管理不全の空き家の除却などを20万戸程度行うことで、30年の時点で「その他空き家」を400万戸程度に抑制する目標が打ち出されている。

 しかしながら、国土交通省の2019(令和元)年空き家所有者実態調査によれば、空き家の取得経緯は相続が54.6%で、所有者の約3割が車や電車で1時間以上かかるところに居住するなど、主体的、積極的に維持管理を行うことが難しい状況にあるものも少なくない。

 空き家の発生抑制や、空き家の利活用・適切な管理・除却に向けた取り組みの強化などを検討していく必要があるが、現実には課題も多いという。空き家を解体し更地にしても使い道がない土地や、住宅として質が低く買い手・借り手を見つけることが難しい住宅、さらに解体費用をかけることや空き家管理に労力をかけたくないという意見もある。

 また、更地になると、固定資産税の住宅用地特例の対象から外れてしまい、税負担が増えることも所有者の行動を消極的なものにしている。

 住宅は個人の資産であり、その保有と管理は個人に委ねられている。しかしながら、管理水準の低下した空き家は、風景や景観を悪化させるとともに、防災・防犯上の課題が生じるほか、ごみの不法投棄を誘発しかねないなど、近隣エリアにマイナスの影響を及ぼす恐れもある。

 住宅の立地する空間全体への影響をどう考えるか。そこで思い出されるのが、長野県小布施町で耳にした「外はみんなのもの、内は自分たちのもの」という言葉である。小布施町は歴史的建造物の保存と地域の特性を生かしたまちづくりを進めており、住宅の配置、外観への配慮とともに、通りを行きかう人が心地よくいられるオープンガーデンなどの取り組みも行われている。

 景観保全に対する地域全体としての取り組みが、そのエリアの価値を高め、土地や住宅の価値を高めることにもつながっている。

 適切な管理と活用困難な空き家の除却を含め、地域ぐるみで考えることが求められる時代となった。

(Kyodo Weekly・政経週報 2022年11月21日号掲載)

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