暮らす

子ども食堂で育児体験  子育てしやすい地域づくり  陣内純英 西海みずき信用組合理事長

2022.07.04

ツイート

子ども食堂で育児体験  子育てしやすい地域づくり  陣内純英 西海みずき信用組合理事長の写真

 西海みずき信用組合(長崎県佐世保市)では旧本店ビルの空きスペースを、学生さんから高齢者まで地域の方々に利用してもらっている。最近、そこで、週に1度、子ども食堂が開催されるようになったので、新入職員と一緒に参加してきた。

 まだ、言葉を話さない小さな子でも他人に慣れているのだろう、初対面のじいさんにすぐになついてはげ頭をなで始めた。一緒にご飯も食べた。定番のウインナーソーセージだが、4歳の子は普通に箸で食べていたが、3歳の子は箸をうまく使えず、皮のそしゃくもできないので、みかんのように中身だけを手で食べ、皮は吐き出していた。

 また、小学1年生の子は「1千万」「億千万」といった数字を口にしていたが、「99の次は何?」という問いには答えられなかった。100という数字を学ぶのは1年生でも後半なのだろう。

 短い時間だったが、年齢の違う子どもたちと遊んでみて、「〇歳だとこんな感じなのだ」ということを一度に知ることができた。私のようなじいさんはともかく、こうした体験はこれから子育てする若者にとっては、極めて有益なのではないだろうか。

 知識やノウハウが乏しいまま、ひとりで子育てせざるを得ず、不安や孤独を感じる新米ママさんが多いと、最近よく耳にする。そうならないよう、妊娠前から、いや、結婚前から子ども食堂に参加するとよい。

 子ども食堂では赤ちゃんを抱いたり、ミルクを飲ませたり、おむつを替えたりなど、子育てを体験できる。上述の通り、子どもの発育段階ごとの特徴もいっぺんに頭に入る。また、将来、子育ての悩みを相談でき、ノウハウを教えてもらえる近所の先輩ママさんとお友達になれる。(写真:ママさんにおむつ交換を教わる新入社員(右)=6月3日、筆者撮影)

 1人の女性が一生の間に産む子どもの数を示す合計特殊出生率(2021年)をみると、長崎県は1.60と全国(1.30)東京(1.08)と比べかなり高い。中でも当信用組合の地盤である佐世保市、大村市、平戸市、松浦市などは、県平均を上回る。今後子育て環境を整備していけば、子育て世代が続々と移住してくるようになり、出生率2.0以上も夢ではないだろう。子ども食堂の活用が、そのための一つの鍵になると、今回実感した。

 西海みずきでも、子育てしやすい地域づくりに貢献するため、男女とも1人3年の育児休業取得を想定した採用計画を検討しているところだが、それに加え、若手職員が、子ども食堂に参加する場合、一定の限度で勤務時間にカウントするような制度もありかもしれない。

 今回私に同行し、初めて赤ちゃんを抱く体験をした新入職員は、「生命を感じました!」と目を輝かせ、「これからパートナー探しも頑張ります!」と宣言していた。

(Kyodo Weekly・政経週報 2022年6月20日号掲載)

最新記事