相手を説得するリーダーシップが必要 市町村長アンケートから提言 NIRA総研
2022.05.23
公益財団法人NIRA総合研究開発機構(NIRA総研)がこのほど公表した研究報告書「人口減少社会に挑む市町村長の実像と求められるリーダーシップ」は、全国の市町村長は総じて関係者の説得に努力する勤勉なタイプが多いものの、その性格が実際の行政に生かされていないと分析した。報告書は「自分の考えを伝えて、相手を説得するリーダーシップが求められる」と提言している。
NIRA総研は「地域経済と市民社会」を重点的な研究分野に掲げており、2020年秋に大規模な全国の首長アンケートを実施した。調査は地域の改革を成功させるキーマンを市町村長と位置付け、首長のパーソナリティー(人物像)を分析した。
それによると、自治体の首長は一般の人と比べて「外向性、開放性が高く、比較的勤勉、神経症傾向が低く、またリスクを積極的に取っていく」のが平均的な姿で、「一般人よりはやや社交的で、リスクを厭わない普通の人間」という人物像が明らかになった。
ただ実際の政策決定では、組織としての意思形成に努めるという「地味で実直な姿」が浮かび上がり、報告書は「リーダーシップを発揮する市町村長は1%程度に過ぎず、市町村長のリスクを厭わないパーソナリティが、現場では必ずしも生かされていない」と指摘した。
首長が重視する政策としては、「子育て支援策の充実」(69%)が最も多く、「防災・災害対策」(46%)、「地域づくり・商工業振興・雇用対策」(42%)、「定住人口確保策」(37%)と続いた。「農林水産業の振興と食料の安定供給」は22%だった。
首長が政策を実行する上で障害となる課題では、「財源不足」(76%)、「職員の数や質が不十分」(57%)、「市町村長と議会の対立」(54%)、「住民が協力的でない」(53%)、「現行の法制度等を前提とした国・県等との調整が進まない」(46%)が上位だった。
調査は全国の市町村長、東京23区長の計1741自治体首長を対象に、2020年10月から11月にかけてインターネットと郵送を組み合わせて実施した。回収率は47.3%。報告書はNIRA総研上席研究員の辻琢也一橋大学教授、大久保敏弘慶應義塾大学教授、中川雅之日本大学教授らがまとめた。
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