世界市場5000億円に迫る 代替タンパク質、30年に3.3兆円へ 矢野経済研究所
2022.03.07
矢野経済研究所がこのほど発刊した市場調査資料「2022年版 代替タンパク質 <代替肉(植物由来肉・培養肉)・昆虫食>の将来展望 ~フードテックが解決する持続可能な食の未来~」によると、植物由来肉や培養肉、培養シーフードといった代替タンパク質の世界市場規模は2021年に、メーカー出荷金額ベースで4861億300万円となった。
20年は3785億9800万円で、21年は25.4%伸びた。市場をリードする米国では21年も、大手食肉・食品企業の市場進出が活発だった。日本でも大手メーカーの参入が相次ぎ、21年も新商品の発売や商品ラインナップ拡充が進んだ。
国内では小売店での売り場整備が進められる一方、外食チェーンなどへの業務用商品の導入が活況となっている。加工原料生産から食品加工、卸、小売りや外食でも、植物由来肉への注目度は総じて高まっている。
(代替タンパク質の世界市場規模、矢野経済研究所作成)
世界の人口増加に伴い食肉需要は増加しているが、畜産由来の温室効果ガス排出や飼料・水資源の大量利用など、畜産業が地球環境に与える影響が背景となり、将来的に従来の動物由来の食肉のみで需要を満たすことが困難になる可能性が出てきている。
こうした中、豆類や野菜などを原材料とした植物由来肉、動物細胞を培養して製造する培養肉が注目され、水産物の持続可能な需給バランスの観点から、植物由来シーフードや培養シーフードなど、代替シーフードの研究開発が進んでいる。
植物由来肉需要は今後、欧米市場を中心に順調に伸びる見込み。加えて中国などアジア圏では健康志向の高まりとともに、植物由来肉の技術が進んでおり、市場が拡大するとみられる。
日本では小売店の商品展開や外食へのメニュー導入などが進むことで、消費者の認知度が高まるとともに、日本農林規格(JAS)化による導入促進、SNSを活用したマーケティングなどが追い風となり、需要が伸びる見通しである。
こうした状況から、2025年の代替タンパク質の世界市場規模は、1兆1919億6400万円、30年は3兆3113億8900万円になると予測する。
この調査資料では「代替タンパク質市場」は、植物由来肉製品、植物由来シーフード製品、培養肉製品、培養シーフード製品、昆虫タンパク製品を対象とする。
植物由来肉、植物由来シーフードは、豆類や野菜などの原材料からタンパク質を抽出し、加熱や冷却、加圧などを行うことにより、肉様・魚介類様の食感に加工した食品。培養肉、培養シーフードは、動物、魚介類から採取した細胞を培養し、生成される食品を指す。
培養シーフードは現状は研究開発段階にあり、昆虫タンパク製品は、人間の食品向けとしており、飼料や肥料、ペットフードなどの用途を含まない。
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