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高齢女性の摂取が拡大  コロナ禍で健康食品の需要増大  飯塚智之 矢野経済研究所フードサイエンスユニット主席研究員

2021.10.13

高齢女性の摂取が拡大  コロナ禍で健康食品の需要増大  飯塚智之 矢野経済研究所フードサイエンスユニット主席研究員の写真

 新型コロナウイルス感染拡大を契機として、消費者における健康意識がさらなる高まりを見せた中、健康食品はわずかながらも、需要の増加が見られた。(写真はイメージ)

 矢野経済研究所では定期的に健康食品(錠剤・カプセル・粉末・ミニドリンクなどサプリメント形状の食品)の摂取状況を調査(方法は末尾に記載)しており、新型コロナ感染拡大前後の健康食品摂取状況を比較したのが下のグラフである。

211013矢野 グラフ2.png

(グラフ:健康食品の摂取状況/現在摂取していると回答した人の比率)


 2019年12月末の調査結果(グラフのオレンジ棒)と、2021年8月の結果(グラフの青棒)について、比較可能な30代以上の状況をみると、男性よりも女性においてコロナ禍における健康食品の摂取が高まったとみられ、特に50~60代女性では34.7%から38.2%へと3.5㌽上昇し、70代以上女性では30.6%から40.0%へと9.4㌽上がった。

 全体的に男性よりも女性が、また年齢を重ねるにつれて健康に対する意識が高まる傾向が見られ、コロナ禍において健康維持・増進のための手段として健康食品の利用が進んだと推察される。

ネット広告で視認


 新型コロナウイルス感染拡大の中で、在宅時間が増加し、特に年配層において、テレビや新聞などを見る時間が増加したとみられ、また、年配層におけるパソコンの閲覧時間が増加し、インターネット広告にて健康食品を視認する機会も増えたと見られる。

 その裏付けとして、先述の消費者調査において、2021年8月実施の結果を見てみると、現在摂取している健康食品を知ったきっかけとして、男性60代以上の第一位がインターネットの広告(31.8%)、2位が地上波のテレビ広告(25.2%)、女性60代以上では、1位が地上波のテレビ広告(26.7%)、2位インターネット広告(24.6%)であり、地上波のテレビCMとインターネット広告が健康食品の主力ユーザーである60代以上における商品視認の1位と2位という結果となった。

 健康食品(機能性表示食品、特定保健用食品を除く)を摂取する目的として挙げられたのが、全体で「健康維持・増進」が56.0%と最多であり、特定の健康機能よりも、全体の健康維持・増進を目的とした飲用が中心であることが明らかとなった。

「おなか」関連に関心


 一方、機能性表示食品における機能表示への関心については、男女ともに50代以下は、"コロナ太り"を反映してか、「おなかの脂肪(体脂肪・内臓脂肪)・体重の減少」が4割前後でトップを占め、次いで「おなかの調子、腸内環境の改善、便通改善、整腸」が3割前後で続く結果となった。

 60代以上は男性が「おなかの調子、腸内環境の改善、便通改善、整腸」、「おなかの脂肪・体重の減少」の順で共に2割超、女性は「おなかの調子、腸内環境の改善、便通改善、整腸」に次いで「骨の健康維持、丈夫な骨の維持」、「血中コレステロールを低下させる、悪玉コレステロールを下げる」、「おなか周りの脂肪・体重の減少」、「年齢とともに低下する筋肉量や筋力の維持」、「眼の調子を整える、眼の疲労軽減、ピント調整機能、色の濃淡を判別する力の改善」、「健康な人の免疫機能の維持をサポート」と続き、いずれも2割超であった。

 健康食品において、青汁やビタミン・ミネラルのように、日々の健康維持を目的とした摂取が見られる一方、市場では、監督官庁において、消費者へ誤認を与えかねない健康食品の広告に対する規制・監視の強化が進んでおり、健康食品販社側において、健康機能を表現出来る機能性表示食品の開発・展開が加速している。

 機能性表示食品においては、「おなか周りの脂肪・体重」や「整腸」のように、幅広い性・年代がターゲットとなるものから、「尿酸値」など性・年代が限られるニッチマーケットまで分かれるが、機能を明示することにより、消費者の身体状況に応じた選択が可能になる。健康食品販社側においてもよりターゲットを明確化したプロモーションを実施することの需要性が高まっている。


 <調査の方法> 2019年12月に30代以上(総数2688人)、2021年8月は20代以上(総数3467人)の消費者に対してインターネットで実施。いずれも自身の健康状態や健康に関する対策を調査した後、健康食品を摂取していると回答した人のみを対象に、健康食品の摂取状況や、機能性表示食品への関心などを聴いた。

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