被災格差が拡大 福島と宮城・岩手 農中総研が震災フォーラム
2021.03.10
株式会社 農林中金総合研究所は10日、フォーラム「東日本大震災から10年~持続可能な農業と地域の再生に向けて」をオンラインで開催した。
斉藤由理子特別理事研究員(写真右)が「震災復興における農業構造の変化とJAの役割」と題して講演、宮城県沿岸部の津波被災地では経営規模の拡大、法人化など多様な構造改革が着実に進んでおり、新規就農者数も増加していると報告した。
また、行友弥特任研究員(一番上の写真左)が「福島県被災地の農業復興の現状と課題」と題して講演し、原発事故により依然として帰還が困難な地区が残り、人口減少と高齢化が急速に進む厳しい現状を伝えた。宮城・岩手両県の農業産出額が震災前の水準に回復しているのに対し、福島県は1割減の状態だという。コミュニティーを支える小さな農業の重要性も指摘した。
2人の講演を受けて、菅野孝志JA全中副会長(写真)が「(金額などの数字だけでなく)地域を守るという思いが重要」とコメント。木村正祥河北新報論説委員長(下の写真、モニター内)は「福島県と他県の被災の格差は広がる一方で、福島県産の農産物に対する岩盤のような拒否層がある」と、根強い風評被害の実態を紹介した。
皆川芳嗣農中総研理事長(写真右)は「事業の継承や地域を支える関係人口など、引き続き関係者と一緒に考えていきたい」と述べた。
斉藤氏と行友氏の論文はアグリサーチで紹介しています。
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