20年度の食品通販市場、初の4兆円超え 在宅率上昇、お取り寄せ需要で 矢野経済研究所予測
2020.08.28
矢野経済研究所が発刊した市場調査資料「2020年版 食品の通信販売市場」によると、ネット販売や生協の配達を合わせた2020年度の国内食品通信販売市場(予測)は、前年度(見込み)に比べ5.3%増の4兆125億円と、初めて4兆円を超える。(グラフ:矢野経済研究所)
市場拡大の要因は、新型コロナウイルス感染拡大の影響で在宅率が上昇し、日常的な需要に加え、高級品やスイーツの「お取り寄せ需要」が伸びていることとみられる。
食品通販市場は20年2月末以降、休校やリモートワークの導入、不要不急の外出自粛により在宅率が上がり、買いだめ需要が広がった。一部では商品欠品や出荷能力の限界から、受注を制限する事態となった。
政府の緊急事態宣言発令後も、店頭の密集を避ける消費者による需要が伸びた。例年在宅率が低下する5月の在宅率が上がり、日常的な需要も、高価格のグルメ食品やスイーツの需要も大きなプラスとなった。
6月以降は買い物サイトやネットスーパー、食品メーカーのダイレクト販売のように、単発の利用が中心の業態では、緊急事態宣言下でみられたような伸びは落ち着いてきている。
一方で、生協や自然派食品宅配のように、定期購入を前提とした会員制販売サービスの業態では、利便性を実感した消費者の需要が定着しつつある。
21年度以降の食品通販市場は、業態による違いはでるが、全体では緩やかな拡大基調が続くと予測している。
調査対象は、①ショッピングサイト(カタログ通販含む)、②生協(班配+個配)、 ③自然派食品宅配、④ネットスーパー、⑤食品メーカーのダイレクト販売(直販)ーの5分野。
(グラフ:矢野経済研究所)
製品(商品)は生鮮3品(水産、畜産、野菜・果物)、米、飲料(ミネラルウオーターは含み、宅配水は含まない)、酒類、菓子類、健康食品、その他加工食品―を調査対象としている。
矢野経済研究所 プレスリリース「食品通販市場に関する調査を実施(2020年)」
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