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こんなときこそ...  山下弘太郎 キッコーマン国際食文化研究センター

2020.04.13

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こんなときこそ...  山下弘太郎 キッコーマン国際食文化研究センターの写真

 新型コロナウイルスの影響でいつもとは違う春を迎えている方も多いのではないでしょうか。

 桜の花を愛でながら一献酌み交わすこともなく、新生活を始める仲間や友人を送り出すうたげもなく、長かった受験に向けての頑張りを互いにねぎらう会食もなく、久しぶりに自宅で3度の食事をしているという方もいるかもしれません。

 公益財団法人食の安全・安心財団の統計によると、2018年度の日本の食品・飲料支出における外食率は34%とのことです。

 支出額なので単純に3回に1回とはいえませんが、外食は生活の一部になっている様子がわかります。それが学校の休校やテレワークなどの在宅勤務で家にいる時間が突然長くなり、必然的に家で食べる機会が多くなった時に、さてどうしよう、となっていませんか。

 こんなときこそ、料理に挑戦してみてはいかがでしょうか。(写真は筆者が自宅で作ったひな祭りのちらし寿司)

 形式張ることはありません。旬の食材や、冷蔵庫にストックしていた食材から食べたいと思うもので一品つくることから始めてみましょう。

 いつの頃からか日本食は一汁三菜、というイメージがありますが、毎日の家庭料理では一汁一菜が主流であったようです。料理店のお膳のように三菜を並べる必要はないのです。

 だしについても同様です。日本にはしょうゆとみりんという便利な調味料があります。昔からしょうゆとみりんを1対1で使うことが味つけの基本といわれてきました。肉じゃがも、魚の照り焼きも、野菜の煮物もこの1対1だけで味が決まるのです。

 だしは素材から出るのであえて加える必要はありません。自分や家族だけのために作るのですから、味が濃かったら薄めればよいし、薄かったら足せばよいくらいの気持ちで気軽に楽しんでみてはいかがでしょうか。

 家族で感想を言い合ったり、作ったものをSNSで発信したりすることでコミュニケーションが広がるかもしれません。何せ1日3食あるのですから話題には事欠かないことでしょう。

 また、ある研究では、調理をする、殊に包丁でものを切ったり、コンロを使ったりするときには前頭葉が活発に働くという報告がされています。

 つまり、外出を控え、どちらかというと刺激の少ない日々の中で料理をすることで脳トレができてしまうというわけです。空腹を満たすだけでなく、コミュニケーションのきっかけとして、そして脳トレとして料理に挑戦してみることをお勧めしたいと思います。

 苦労して作った、失敗した、おいしいと褒められたなどの体験が、味そのものよりも楽しい記憶として残っていくかもしれません。楽しく、おいしく、体と心を健康に保っていきましょう。

(KyodoWeekly・政経週報 2020年4月13日号掲載)

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