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「書評」フードテックは何を目指すのか  「日本農業の動き216」(農政ジャーナリストの会)

2023.01.30

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「書評」フードテックは何を目指すのか  「日本農業の動き216」(農政ジャーナリストの会)の写真

 相次ぐ食料品の値上げで、消費者の関心は「手ごろな価格で食べ物を手に入れたい」という現実的な課題に向かっており、一時期と比べてイノベーションに対する期待は後退しているようだ。

 しかし農業・食品分野とIT、AI、ロボット技術との融合は、生産から消費まで様々な面で進んでおり、なかでも代替タンパク質として、大豆などを素材を使った代用肉や昆虫を素材とした食品などは、すでに実用化され、細胞から肉を育てる培養肉も焦点は低価格化に移っている。

 これまでの農産物の生産とはまったく異質なフードテックは、農業・食品分野にどのような変革をもたらすのか。農政ジャーナリストの会は、フードテックの全容に詳しい田中宏隆・シグマクシス常務執行役員、大豆の可能性を追求してきた不二製油グループの佐本将彦・未来創造研究所研究員、培養肉製造装置のベンチャー企業を率いる川島一公 インテグリカルチャー取締役CTO、昆虫ビジネスに詳しい藤谷泰裕・大阪府立環境農林水産総合研究所審議役の4人を講師に、連続勉強会を開催した。

 本書はその採録だ。農業・食料の現実は厳しい状況だが、夢のある未来を語り続け、イノベーションにつなげていくことが重要だ。

 日本農業の動き216号(フードテックは何を目指すのか)は農山漁村文化協会(農文協)発行、税込み1320円。