東京で林業が成り立つのか? 檜原村「東京チェンソーズ」 AFCフォーラム2月号から
2022.02.12
「東京で林業が成り立つのか」という疑問に対する答えは「イエス」だー。
日本政策金融公庫の月刊誌AFCフォーラム2022年2月号の「新・林業人」で日刊木材新聞社の林貴和子さんが紹介している株式会社「東京チェンソーズ」は、青木亮輔代表ら4人の若者が2006年に山梨県境の檜原村で起業した。
檜原村は地域全体を木のおもちゃ作家や職人が集まる「トイビレッジ」と位置付け、その一環として19年に「おもちゃ工房」、21年に遊具を使った体験型の「檜原森のおもちゃ美術館」を開設した。
東京チェンソーズは製材する前の木を「1本丸ごと売る」というユニークな営業を展開しており、店舗のディスプレー向けなどに販路を広げてきたが、集めた幹や枝も工房など村内で使われるようになった。
21年6月期は売上高約1億3400万円で黒字を確保し、アルバイトも含めたスタッフは30人に増えた。21年10月にはキャンプ場の運営を開始。テレビ局の撮影協力やワークショップなど、本業以外の収益も伸びている。
著者の林さんは同社の経営を「多様性」と総括する。もとより、林業は材木の供給以外の多面的な機能を有している。森林空間が持つ価値を最大限引き出してビジネスに結びつけるところに、首都圏に近い林業の活路があると実感できるレポートだ。