ボランティアを呼び込む「人が集まる農場」 AFCフォーラム10・11月号から
2021.12.04
北海道旭川市から約100㌔も離れた遠軽町に、年間数百人が訪れる「人が集まる農場」がある。日本政策金融公庫の月刊誌AFCフォーラム10・11月号「新・農業人」で紹介する「えづらファーム」だ。
経営者の江面暁人さんは、大学進学、ドイツ留学を経て人材系企業に就職したが、「人間らしい生活をしたい」と転職を決意し、結婚式を挙げた翌日に夫婦で北海道に移住、3年間の研修を経て12年に就農した。
経営規模は小麦18㌶、てんさい10㌶、ジャガイモ7㌶、スイートコーン7㌶、ブロッコリー0.8㌶に拡大したが、課題は人手不足。そこで、3食と宿泊を無料で提供する代わりに農作業を手伝ってもらう「住み込みボランティア」を導入した。
現在は年間数百人が応募、その中から約20人(コロナ禍前は約70人)を選考しているという。人気の秘密は、個々のボランティアの目的や価値観に応じた江面さん夫妻のきめ細かい対応だ。さらに農家民宿も経営。海外からも宿泊者が訪れ、コロナ禍以前はボランティアを含めると年間500人以上が「えづらファーム」に滞在していたという。
コロナ禍の影響で農家民宿の経営やボランティアを含めた労働力の移動は厳しい制約を受けているが、一方で農村の魅力が再評価されている。一刻も早く感染者数の減少が定着して人流の制限が緩和され、再び農場に人が集まってくることを期待したい。