「レポート」 最新の豆腐づくりでフードテック理解 AFCフォーラム9月号から
2021.09.20
フードテックの代表例として、大豆を原料にした代替肉が取り上げられることが多いが、かねてから「日本には豆腐、納豆、枝豆など大豆をおいしく食べる方法があるのに、いったい何を騒いでいるのだろう」と疑問に思ってきた。
フードテックは単なる食品改造技術ではなく、極めて幅の広い概念だ。日本政策金融公庫の月刊誌「AFCフォーラム」の最新刊(2021年9月号)は、「動き始めたフードテック」を特集し、金子弘道帝京大客員教授が相模屋食料(前橋市)の豆腐づくりを紹介している。
普通の豆腐と異なるのは、ロボットを導入し、製品がまだ温かいうちに包装する「ホットパック」という技術によって、風味を損なうことなく賞味期限を大幅に延長したことだ。これにより長距離輸送が可能になり、販路を広げ賞味期限間近で廃棄されるフードロスを大幅に減らした。
さらに、冷や奴用の豆腐などの販売量が、気温によって大きく左右される点に着目し、気象情報と組み合わせて生産量を調整している。
最新の設備と技術以上に重要なのが、徹底した衛生管理だ。納入先の日本生活協同組合連合会(日生協)は厳格な工場審査を要求し、その基準を満たすために日生協の職員が半年間泊まり込みで、改善を積み重ねた。言わば生協の「外圧」を受ける形で品質の向上を続けている。
フードテックのポイントは、栄養摂取、調理、耕作、加工、健康、文化、娯楽、学習など「食」(フード)に含まれる様々な要素を、最先端の技術(テック)を使って再編するところにある。片仮名や英語混じりの文章で説明されることが多いフードテックを、ようやく身近に理解できた。