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現場発 コロナ禍に揺れる食と農(日本農業の動き210)  農政ジャーナリストの会

2021.05.25

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 新型コロナの感染拡大で最初の緊急事態宣言が解除された後の2020年7月に、農政ジャーナリストの会は、興味深い鼎談をオンラインで開催した。

 野菜くらぶの澤浦彰治社長、イオンアグリ創造の福永庸明社長、PAN HULIC JSC(ベトナム)の佐藤和彦代表の3氏がそれぞれの立場でコロナ禍の影響を語る趣向だ。その議事録がこのほど発行された「日本農業の動き」210号に再録された。

 現場からの報告は生々しい。例えば、コロナ禍で菊の需要が激減したとは聞いていたが、ベトナムの生産者も日比谷花壇に菊を納入しており、深刻な打撃を受けている。

 鼎談の最中に、オンライン会議の機能を活用して実施されたアンケートも、ジャーナリストたちの「現場」だ。コロナ禍の収束について「ワクチンができれば元に戻る」(46%)、「元に戻るのに1~2年かかる」(31%)、「ワクチンができても元に戻ることはない」(31%)、「(20年の)秋ぐらいに元に戻る」(0%)など、約35人の回答が記されている。

 確かに当時は、欧米の惨状に比べて日本はコロナ禍の被害を抑制しており、楽観はできないけれど「まだまし」という気分だった。「ワクチンができれば」という設問自体、自国での開発を前提としていた。

 今やワクチンを輸入に依存し、関西では事実上の医療崩壊を回避できず「コロナ敗戦」とまで言われる惨状だ。「コロナ」は連日トップニュースとして洪水のように報道されているが、わずか10カ月前のことでも忘れてしまう。生の記録を残すことの重要性を再認識させる内容だ。(税込み1320円、農山漁村文化協会)