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答志島のお勧め「Olive海苔」  三重県鳥羽市の離島を巡る  小島愛之助 日本離島センター専務理事

2023.01.02

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答志島のお勧め「Olive海苔」  三重県鳥羽市の離島を巡る  小島愛之助 日本離島センター専務理事の写真

 三重県鳥羽市には答志島(とうしじま)のほか、三つの有人離島がある。まず、鳥羽港の東600㍍のところに浮かぶ坂手島は、4島の中で最も小さい0.51平方㌔㍍に約280人の住民が居住している。鳥羽港から市営定期船に乗り、10分で坂手島に着くことができる。島全体が一つの小山のようになっており、南側のわずかな平地と斜面に民家が集中している。2012年に坂手小学校が廃校となり、島から学校がなくなっている。作家の江戸川乱歩は、鳥羽造船所に勤務していた折に、坂手小学校の教師をしていた村山隆と知り合い結婚しているが、妻の実家は坂手島に現存している。

 次に、鳥羽港の東3㌔㍍に位置しているのが菅島である。人口は約500人で、面積は4.52平方㌔㍍、周囲は13㌔㍍であるが、200㍍級の山々が連なっており、平地が少なく、集落は菅島漁港のある北東部に集まっている。鳥羽港からの市営定期船が13分で菅島まで運んでくれる。

 菅島は同じ鳥羽市内の相差、志摩市志摩町の和具と並んで、海女の多い地域として知られている。毎年7月11日、菅島の白浜(しろんご浜)で行われる「しろんご祭り」は、昔、菅島に現れた白蛇を龍神の使いとあがめて、大漁と海上安全を祈願したのが始まりと言われている。白浜は通常禁漁区であるが、この日だけ漁が許され、収穫されたアワビは菅島の守り神とされる白髭神社に奉納されている。

 そして、鳥羽港から北東14㌔㍍のところに位置しているのが、三島由紀夫の小説「潮騒」の舞台としても有名な神島である。周囲3.9㌔㍍、面積0.76平方㌔㍍の島に約300人の住民が暮らしている。実は、この島は伊勢湾の入口、渥美半島の伊良湖岬から約3.5㌔㍍の距離にあり、菅島よりも伊良湖岬の方に近い。

 鳥羽港からの市営定期船で35分を要するが、「潮騒」の舞台となった八代神社、神島灯台、監的哨跡を訪れる観光客や釣り客などが多い。特に、監的哨跡や神島灯台からの眺めは抜群であり、伊良湖岬のみならず、日間賀島、篠島、佐久島といった愛知3島が手に取るように見渡せる。鳥羽市出身の演歌歌手、鳥羽一郎さんの弟で、同じく演歌歌手の山川豊さんは17年に「潮騒」という曲をリリースしているが、この歌も神島を舞台にしている。

 さて、今回の味は、答志島に戻らせていただいて、答志島産の黒のりと塩、エキストラバージンオリーブオイルで作った味付けのりを紹介したい。その名もストレートに「Olive海苔(のり)」と称されている。他にエキストラバージンオリーブオイルの代わりに、ごま油を使用した「Sesami海苔」というものも作られている。酒のおつまみにはもとより、子どものおやつとしても最適な代物であるとお勧めしたい。(写真)

 発売元は、水産物のブランド化に力を入れている鳥羽磯部漁業協同組合であり、同漁協が鳥羽志摩農業協同組合と共同経営している、近鉄鳥羽駅前の「鳥羽マルシェ」で運が良ければ購入することができる。

(Kyodo Weekly・政経週報 2022年12月19日号掲載)

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