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食べ応えある「島のり」  フグ、タコだけじゃない日間賀島  小島愛之助 日本離島センター専務理事

2022.10.24

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食べ応えある「島のり」  フグ、タコだけじゃない日間賀島  小島愛之助 日本離島センター専務理事の写真

 愛知県南知多町には、二つの有人離島(日間賀島、篠島)がある。知多半島の南端にある師崎港と日間賀島東港、日間賀島西港、篠島港を結ぶ名鉄海上観光船の定期高速船は、「師崎ー篠島ー日間賀島ー師崎」の順に巡り、所要30分で1周することができるが、師崎港には車利用が必須である。

 このため、便数は少ないが、名鉄河和駅から徒歩約7分の河和港発、日間賀島、篠島経由で伊良湖港に向かう定期高速船も運航されている。

 まず篠島(しのじま)からご紹介したい。面積0.94平方㌔の島に約1580人が住んでいる。経済の中心は水産業と観光業であり、水産業はシラス漁などの漁船漁業が主体だが、ノリなどの養殖漁業も盛んである。観光業では、主流の釣り客や海水浴客に加えて、日間賀島とともに、名古屋からの至近距離を生かし、フグやシラスなどの海産物を目当てにしたグルメ旅行がドル箱となっている。

 伊勢神宮の式年遷宮の翌年、篠島にある神明神社(女宮)と八王子社(男宮)は伊勢神宮の古材を用いて20年ごとに遷宮を行っている。特に、神明神社は771年に伊勢神宮豊受大神宮(外宮)の別宮である土之宮から下賜された建材で造営されたのが起源であり、伊勢神宮に参拝する者は、篠島に渡り神明神社に参拝することで、「宮巡り」の成就とされたと伝えられている。

 篠島には昨年「篠島デューテラス」という新しい観光スポットが誕生した。かつて篠島港の近くにあったゴルフ場の跡地を活用して建設された複合施設である。この施設では、島特産のシラスを使った「しらす丼」や「フグの唐揚げ」、「牡蠣ラーメン」などの島独特のメニューに加えて、ステーキの焼き方を競う大会で何度も優勝している東大介さんが調理する「アンガス牛のリブロースステーキ」が並び、訪れる人々の舌を満足させている。

 一方の日間賀島(ひまかじま)は、面積0.77平方㌔の島に約1750人が住んでいる。1989年、九州近海でフグが不漁となった際に「フグの島」としてアピールし、96年に名鉄が「日間賀島ふぐづくしプラン」というツアーを売り出してから、そのイメージが定着した。冬場のフグとともに、夏場のタコも観光の目玉にしており、東西の港の前にはタコのオブジェがあるなど、島内の至る所でタコをモチーフにしたものが見られる。

 さて今回は、日間賀島から「島のり」(写真)をご紹介したい。日間賀島漁業協同組合・島のり会が販売している味付けのりである。味付けのりと聞くと抵抗感を持たれる方もいると思うが、「島のり」は全く印象が違う。味も単純においしいが、厚みがあって食べ応えも違い、しっかりとのり本来の風味も残っている。

 味付けのりなので、ご飯と一緒に食べるのが基本であるが、のりだけでもパクパクと食べてしまうという、まさにポテトチップス代わりになるポテンシャルを秘めた味付け海苔なのである。ぜひお試しいただきたい。

(Kyodo Weekly・政経週報 2022年10月10日号掲載)

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