枝豆とビールで堪能 新潟各地の花火、3年ぶり開催 陣内純英 西海みずき信用組合理事長
2022.10.03
休みに新潟県三条市の自宅に帰った。新潟の夏といえば花火だ。新潟では三大花火(柏崎、長岡、片貝)をはじめ大小いくつも花火大会がある。新潟平野は遮るものが少ないので、自宅マンションからは、長岡、片貝、三条、燕など10カ所近い花火が見える。今年は、行動制限の緩和により各地の大会が3年ぶりに開催され、新潟の夏が生き返った。
長岡花火を自宅から25㌔先に見えるリアルの花火とテレビ中継で鑑賞したが、数年前に間近で見たときの感動がよみがえった。長岡人は「花火を見て涙を流す」と、ときに変人扱いされるが、あの花火を見て涙を流さない人はむしろ少ないだろう。とくに中越地震復興祈願花火フェニックスは、中規模の大会の打ち上げ総数に相当する花火が、信濃川沿い2㌔にわたり、巧みな演出により5分間で怒濤のように打ち尽くされる。まだ見ていない方は、死ぬ前に一度観ることをお薦めする。(写真:2018年の長岡まつり大花火大会・復興祈願花火フェニックス)
フェニックスには、企業などの協賛金に加え、ウェブサイトや商業施設などに設置された募金箱を通じて市民から広く寄付が集まる。このほかの花火は、企業などがスポンサーとなっているが、「天地人」「この空の花」などの大きな花火は、複数の企業などが共同で協賛している。
長岡の数日後には地元三条の花火大会が開催された。混雑はなく、川沿いの土手にゆったり座って見られるが、その割に、豪華なスターマインや尺玉連発など、なかなかすごい。三条の場合は、花火ごとに単独の協賛企業がつく。コロナ、スノーピーク、コメリなどの上場企業やそれに匹敵する有力企業が名を連ねている。人口10万人弱の市でも、これだけの企業があれば、豪勢な花火大会を催すことができるわけだ。上場企業が一つもない長崎県民の立場からはうらやましい限りだ。
秋風が吹き始める頃、四尺玉で有名な片貝花火(小千谷市)が催される。江戸時代中期から続く地元神社への奉納煙火で、誰でもスポンサーとなり願いを込めて奉納できる。「祝初孫誕生、元気に育ってね」とか、「社員の健康、社業発展祈願」といったアナウンスとともに、花火が上がる。1発ごとに10年ずつタイムスリップしていくようだ。
さて、花火のお供だが、冷えたビールに、つまみは枝豆と十全茄子の浅漬、締めは南魚沼産の八色スイカ。新潟は日本酒とコメだけではない。新潟限定ビールや日本第一号の地ビールもある。枝豆は、作付け面積も消費額も全国1位で種類も豊富。新潟県民は、ザルに山盛りの枝豆を食べる。長岡市では、世界枝豆早食い選手権も開催される。夏のナスも作付け面積全国1位だ。
花火と旬の味で、久しぶりの新潟の夏を堪能できた。
(Kyodo Weekly・政経週報 2022年9月19日号掲載)
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