植物工場レタスの市場拡大 22年度26%増へ、供給量・品質が安定 矢野経済研究所調べ
2022.09.07
矢野経済研究所が発刊した市場調査資料「2022年版 植物工場の市場実態と将来展望」によると、2022年度の完全人工光型植物工場のレタス類の運営市場規模は、前年度比26.0%増の281億円と大きく伸びそうだ。天候不順で露地野菜の相場が乱高下する中で、供給量・品質が安定した植物工場産の需要が拡大しているためだ。(写真はイメージ)
完全人工光型植物工場とは、光源に人工光を用い空調と養液栽培を導入し、植物の生育に必要な環境要素(光、温度、湿度、CO²ガス濃度など)を制御して栽培する屋内施設を指す。調査では太陽光や人工光併用型のハウス栽培は対象外とした。完全人工光型植物工場では比較的栽培のしやすいレタス類が栽培品目の90%以上を占めることから、同類の生産者出荷金額ベースで、市場規模を算出した。
市場規模は2018年度は59億6900万円だったが、順調に拡大して21年度は18年度の約3.7倍の223億円となった。
(矢野経済研究所作成)
コロナ禍で食の安全・安心に対する消費者の意識の高まりが継続する中、植物工場産野菜は袋詰めで販売され衛生的なイメージがあり、露地野菜より菌数が少ない点などが消費者に評価されている。食料安全保障の点からも、一年を通し安定した生産・供給と、品質管理・衛生管理がしやすい植物工場産野菜は注目を集めている。
用途別にみると、業務用需要が伸びている。中食のカット野菜や生春巻き、外食チェーンのサラダや料理の付け合わせ、コンビニのサラダやサンドイッチなどで需要が拡大している。
日産1㌧以上の大規模植物工場新設の事業計画も明らかになっており、今後も市場は拡大傾向で推移し、レタス類の運営市場規模は26年度には450 億円に達すると予測する。
今後はレタス類に加え、イチゴ、ホウレン草や、ケール、ハーブ類などへの栽培品目拡大が見込まれている。イチゴは課題だった採算性が向上していることなどから、参入事業者が増加している。ホウレン草は生食用に加え、冷凍需要拡大が期待されるため、大規模工場の生産計画がある。
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