プロモーションのすすめ 地域盛り上げるまちの情報 陣内純英 西海みずき信用組合理事長
2022.08.15
私の妻が住む新潟県燕三条には、ローカル情報専門の日刊紙が大小2、ネットニュースが一つある。中小企業のまち燕三条では、産地内で分業体制をとっていて企業の横のつながりが強い。身近なまちの情報は経営の必須アイテムだ。日刊紙の一つは、普通の大きさ(ブランケット判)で10面あり、家庭でも購読されている。長崎県佐世保で単身赴任中の私に毎朝かかる妻の電話の話題も、「いきつけの肉屋さんが火事になった」といった記事のピックアップが多い。
燕三条の経営者は、こうしたメディアを活用したプロモーションに積極的だ。新商品やイベントの情報など、何かネタがあればリリースする。毎日のように知り合いが記事になるので「今日載ってたね、読んだよ」というのがあいさつがわりになっている。
信用金庫・信用組合も、決算・人事・セミナー・CSR活動など、頻繁に取り上げられる。総代会(一般企業の株主総会に当たるもの)の後の記者会見の様子は、1面の大半を使って写真入りで報じられる。
一方、私が住む長崎県で広く読まれているのは、全県あるいは北部九州をカバーする地方紙だ。世界や全国のニュースも掲載しているので、地域情報に割くスペースは限られている。身近な人が新聞に載ることは多くはない。
だから、多くの経営者が、メディアに売り込み、取材を受けることなど思いつきもしない。われわれの信用組合でも、先般、総代会に合わせて記者会見を開こうと役員会で提案したが、前例がないこともあって他の役員は乗り気でなく、来年再検討することになった。
また、私が参加しているある集まりでも、毎年慈善活動を行っているので、プレスリリースを提案してみたが、まったく賛同を得られなかった。
しかし、地域を盛り上げるためにも情報発信は重要だ。企業などが自らの活動や取り組みを発信することで、地域の魅力が地域の内外に伝わり、それが、地域の人々の自信や地元愛、一体感を呼び起こし、この地域に憧れをいだき引き寄せられる人も増えてくるだろう。
そのためにも、多くの人に読まれる地域ニュース専門メディアが当地にもほしいところだが、ないものねだりをしてもはじまらない。そこでわれわれは、中小企業などのプロモーションを少しでも支援するため、地元ウェブメディアと連携することとした。
当組合の職員が経営者の思いや事業内容、新しい取り組みなどについて取材し、写真入りの記事を投稿している(写真:西海みずき信組の職員が取材し、地元ウェブメディアに掲載された記事)。同時に組合のSNSでも紹介する。そのために発信力のある職員を選び、若手職員と組ませてチームを組成した。
今後、地域の魅力を発信する大学生ライターの育成なども絡めてプロジェクトを展開していきたいと思う。
(Kyodo Weekly・政経週報 2022年8月1日号掲載)
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