古農具で知る先人の稲作 東京農大、コレクション公開 共同通信アグリラボ 田代清久
2022.04.19
東京農業大学(江口文陽学長)は19日、世田谷キャンパス(東京都世田谷区)の実験研究棟サイエンスパーク1階で、このほど常設展示を始めた古農機具の収蔵品約60点を報道関係者に公開した。
東農大は1968(昭和43)年から14年かけ、全国から約3600点の古農機具を収集した。農業基本法の公布(61年)や農業の動力利用状況を考慮し、59年以前に使用されたものを古農機具と定義し、梅室英夫教員が中心となって集めた。
展示した古農機具は稲作用を中心に、すべて実際に使われたもので「産業遺産300選」に指定されたものもあるという。
(農業用水をくみ揚げる竜骨車)
(足で踏んで農業用水のくみ揚げや排水を行う踏車)
展示品の選定や設計の中心となった木村李花子教授は「コレクションを見ることで、かつての農作業の様子を知ることになり、農の文化を体感することができる。古農機具という非文字資料の面白さを知ってほしい」と説明した。
(苗を均一に植えるため、水田に張った縄に沿って転がす田植え枠)
常設展示のため学生や教職員らは見られるが、コロナ禍対応もあってキャンパス入場を制限していることもあり、部外者が自由に見ることはできない。そのため現在バーチャル動画を作成しており、誰でも見られるようにするという。
(防水性と透湿性を併せ持つ、みのや草履)
同棟1階には古農機具のほか、醸造科学科所蔵のビール缶、進化生物研究所の昆虫標本コレクションも併せて展示した。江口学長は「伝承してきた知的財産の展示は意義深い。受け継いでいかれることを願う」と話した。(共同通信アグリラボ 田代清久)
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