ブレッドフルーツ事業を継続 東京農業大のトンガ支援策
2022.03.10
東京農業大学(東京都世田谷区)は10日、江口文陽学長、杉原たまえ国際食料情報学部国際農業開発学科教授らが記者会見し、大規模噴火と津波による被害があったトンガの農業の状況などを報告し、国際協力機構(JICA)の草の根技術協力支援事業として2017年に始めた、トンガの伝統食ブレッドフルーツ(パンノミの実、BF)の活用・商品開発などを継続すると発表した。(写真:粉末にして商品化したブレッドフルーツ)
杉原教授によると、トンガの農業被害は、降灰でキャベツやトマトなどの葉物野菜・果樹への打撃が大きかった。水産業ではモズクの養殖被害が目立つという。世界銀行の調べでは、被害額は計約24億円に達している。
噴火・津波の生活への影響では、国際通信網を支える海底ケーブルの切断が2月22日までに修復された一方で、ここに来て新型コロナウイルス感染が広がり、全人口が約10万5000人なのに対し、1日の新規陽性者が約100人に達している。
継続するBF事業で農大はこの日、事業運営で連携するトンガの非政府組織(NGO)に寄付金を送った。
ブレッドフルーツは果物としては適切に保存する方法がなく、最盛期には廃棄されるものも多かった。BF事業ではブレッドフルーツを効率的に栽培し、保存可能な製品(粉)とするまでの技術移転を進めることなどにより、国内外への販路を開拓して普及を図っている。粉は輸入小麦粉の代替となり、健康増進にも寄与する。
(BF事業担当教授ら。中央は江口学長、右端が杉原教授=10日、東京農業大学)
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