林業の多様な関わりの評価が焦点 農中総研、ESG投資でフォーラム
2022.03.09
農林中金総合研究所(農中総研)は3月9日、フォーラム「ESG投資の潮流と森林・林業・木材産業の将来像」をオンラインで開催した。ESG(環境・社会・企業統治)投資や「ウッド・ショック」と呼ばれる供給不足に対する関心が高く、約500人が参加した。
第1部では、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)の宮園雅敬理事長が「GPIFのESG投資」と題して講演、運用資産の規模が約200兆円と巨額であることを踏まえて「結果的に影響力があるという自覚を持つ」と述べ、GPIFの責任を強調した。
続いて、農中総研の安藤範親主事研究員が「森林保全と木材利用促進の契機となるESG投資」、多田忠義主事研究員「森林・林業・木材産業が果たす役割と直面する課題」と題して講演した。
第2部のパネルディスカッション「ESG投資は森林・林業・木材産業と木材利用に何をもたらすか」では、佐々木太郎全国森林組合連合会参事、佐々木正顕積水ハウス環境推進部長、永田信東大名誉教授、成田恭子一般社団法人CDP Worldwide-Japanシニア・マネジャー、岩曽聡農林中央金庫常務執行役員が、ESG投資の現状、期待、国際的な視点からみた日本の課題などについて意見交換した。
コーディネーターの皆川芳嗣農中総研理事長が「森林、林業、木材産業は気候変動だけでなく生物多様性など多くの課題に関連しており、さまざまな活動をどのように計測するかが論点だ」と総括、ウクライナ情勢に触れて「国際社会の連帯について危機意識が高まっているが、将来を見据えてこれまでの取り組みを継続しなくてはならない」と述べ、ESGや持続可能な開発目標(SDGs)の流れは変わらないという認識を示した。
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