食品業は価格転嫁に慎重 日本政策金融公庫の1月調査
2022.03.21
食品産業における原材料価格が高騰する中、日本政策金融公庫が実施した食品産業動向調査(2022年1月調査)によると、コスト増加分を「販売価格に転嫁した」との回答が44.4%と、「転嫁できない」(44.7%)とほぼ同程度となり、値上げを回避しようとする企業の姿勢が明らかになった。(写真はイメージ)
リーマン・ショックの直前に輸入穀物や原油の価格が高騰した08年の調査と比較すると、「コスト増を転嫁できない」と「転嫁させる必要がない」を合わせた「販売価格に転嫁していない」とする回答(55.6%)は20.1㌽も高く、当時と比べても価格転嫁には慎重だ。
「販売価格に転嫁した(しようとしている)」とする回答割合を品目別にみると、パン(81.0%)が最も高く、油脂(72.7%)、糖類(66.7%)、めん類(61.8%)の順となり、小麦の輸入価格の上昇が直撃している。
価格転嫁できない理由としては、「同業者との横並び」「取引先に価格決定権があるため」の回答が多かった。
併せて実施した食品産業動向調査によると、2021年7~12月期の食品産業の景況DI(「良い」という回答の割合から「悪い」という回答の割合を差し引いた数値)は、前回調査(21年1~6月期)から0.1㌽改善し、マイナス9.2だった。
22年1~6月期は4.7㌽上昇のマイナス4.5と、改善が続く見通し。コロナ禍の影響を克服する動きが出ているが、調査の後、ウクライナ情勢が悪化して原材料費は一段と高騰しており、下方修正される可能性が高い。
業種別にみると、飲食業は18年7~12月期からマイナス値が続いていたが、今回調査でプラスに転じた。一方スーパーなど小売業は20年1~6月期以降プラスが続いていたが、今回調査で大幅に悪化し、マイナスに転落した。
調査は今年1月1~14日に、全国の食品関係企業(製造業、卸売業、小売業、飲食業)6921社を対象に郵送で実施し、34.5%の2386社から回答があった。
調査結果資料(本文)をアグリサーチに掲載しています。
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