土壌侵食防止技術で連携 東京農業大、日本工営など2社と
2022.02.24
東京農業大学(江口文陽学長)は24日、建設コンサルタント大手の日本工営(東京都千代田区、新屋浩明社長)、微細藻類培養などを手掛ける日健総本社(岐阜県羽島市、森伸夫社長)の2社と、包括連携協定を結んだ。(写真:左から森社長、江口学長、新屋社長=東京都世田谷区の東農大)
今後3者は土壌藻類を利用して土地表面の侵食を防止する「バイオロジカル・ソイル・クラスト(BSC)工法」を通じて協力し、地球温暖化に伴う災害に対応する技術や新機能素材の開発、農林水産業をめぐる技術開発などを進める。
緑化工法のひとつであるBSC工法は、土壌藻類で作成した資材を、造成工事や斜面崩壊で生じた地面、開発工事で荒れた斜面に散布することで自然植生を早め、表面侵食を防ぐことができる。
BSC工法は日本工営と国立研究開発法人土木研究所の共同特許技術。周辺に存在する植物が侵入することになるため自然な植生・景観が形成される上、散布資材が安価で、斜面・法面の整形工事がいらないため経済性も高いという。
(BSC工法の効果:左から施工前、3カ月後、9カ月後=石垣島、日本工営の資料より)
協定締結の後、記者会見した江口東農大学長は「BSC工法を通じた3者の連携が、社会への貢献につながっていくと確信している」と述べた。東農大では今年5月にも厚木キャンパス(神奈川県厚木市)にある法面崩壊個所で施工を始めるなど、各地の施設内で同工法を施していくほか、農林水産業への応用に向け研究を進める。
日本工営の新屋社長は「持続可能な社会の実現へ、大学などと協力し地域も巻き込んでいくことが重要だ」と指摘した。
日健総本社の森社長は「土壌藻類によるBSC工法の資材を生産するのが日健総本社の役割。健康食品メーカーでもあるが、微細藻類の専門メーカーを目指して技術を進化させる」と述べた。同社は石垣島(沖縄県石垣市)に微細藻類の生産基地を置いている。
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