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ジャガイモはどこに行った?  重要な国内生産量確保  前田佳栄 日本総合研究所創発戦略センターコンサルタント

2022.01.24

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 国内での加工食品用のバレイショ(ジャガイモ)の供給不足が顕在化している。日本マクドナルドでは、2021年12月下旬と22年1月9日からの2度、フライドポテトのMおよびLサイズの一時的な販売制限を行った。

 カナダ・バンクーバー港近郊での大規模な水害やコロナ禍が与える世界的な物流網への影響により、北米からの輸入遅延が発生していることが要因である。

 加工食品用のバレイショの供給不足は輸入品だけではなく、国産品でも問題となっている。2018年度時点で、国産バレイショの生産量226万㌧のうち、加工食品用での消費は53万㌧を占める。

 ポテトチップス用のバレイショに関しては、国産バレイショを使用した商品の人気上昇などに伴い、メーカー側から約12万㌧もの潜在ニーズがあるという。ニーズを満たすには、53万㌧から2割程度も増やす必要がある。

 しかし近年は、気候変動の影響などにより安定生産すらも難しくなりつつある。主力産地である北海道では、21年夏の干ばつにより生産量が激減した。これを受け、カルビーや湖池屋などの大手ポテトチップスメーカーでは、値上げや内容量の変更に踏み切っている。

 20年3月に閣議決定された食料・農業・農村基本計画では、バレイショの30年度の生産努力目標を239万㌧と設定している。農林水産省は目標の達成に向けて、産地向けの支援メニューの整備を進めている。

 21年度の補正予算では持続的畑作生産体系確立緊急対策事業として、種バレイショの生産や、てん菜からバレイショへの作付転換時の補助が新たに設けられた。後者では、農業機械の導入に対する支援も含まれている。

 需要家としては、原料の安定調達は最も重要な課題の一つである。メーカーは原料確保に向けて、産地の分散によるリスクヘッジや、契約栽培による囲い込みなどを行っているものの、やむを得ず原料を国産品から輸入品へ切り替える年も発生している。こうした状況が続けば、国産品から輸入品へのシフトが起こり、国産農産物に対する需要自体が失われてしまうリスクすらある。

 国産バレイショへの需要が高まっている今こそ、そのニーズを捉えて、適正な生産量を確保することで、農業も食品産業もウィンウィンな関係を築くことが可能になる。

(Kyodo Weekly・政経週報 2022年1月10日号掲載)

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