長崎は「おさかな県」! 魚種が豊富、刺し身が一番 陣内純英 西海みずき信用組合理事長
2022.01.04
元日本銀行長崎支店長の平家達史氏(京都市出身)が2021年6月、日銀を辞め長崎に移住してきた。支店長時代に長崎の魅力に気付き、「魅力の宝庫」長崎を「魅力の倉庫」にしないため、ブランディングやプロモーションに取り組みたいとの思いからだ。
その平家氏が、地元テレビ局の番組で、長崎の食についての認知度が全国的には低いことをデータに基づき解説していた。筆者がネットで見た市場調査会社のリポートでも、「料理・食材がおいしい都道府県」では、長崎県は9位に甘んじている。しかも、なんと「魚貝・水産物がおいしい都道府県」ではベストテンにすら入っていないという目を疑う結果だ。ちなみに1位はいずれも北海道だ。
タイ、ブリ、アジ、サバ、フグなど魚種で漁獲高トップを誇る長崎県はおいしい魚料理が食べられる点でも全国、いや世界一だ。私もかつて仕事柄、根室・留萌・小樽・青森・塩釜・清水・浜田・下関とあちこち魚のおいしい街に長期出張してきたが、魚種の豊富さや刺し身の歯ごたえなど、やはり長崎県が一番だ。
長崎県はマグロの漁獲高がトップクラスだが、消費量は全国最低レベルだ。刺し身といえばマグロという関東と長崎は刺し身の常識が違う。マグロよりずっとおいしいバラエティーに富む魚があふれている。
こうした長崎の魚の魅力を知って、「包丁を握るからには、長崎で腕を振るってみたい」という料理人が長崎に集まり、その料理を食べたいという消費者が長崎に集まり、質の高い多様な名店が増え、そこにまた料理人も消費者も集まるという好循環ができることを期待したい。
しかし、その前に真の実力と一般の評価との間の大きなギャップを埋めなければならない。魚が大好きなのに、長崎の色とりどりの刺し身盛やあつあつのすり身揚げを食べずに一生を終わる不幸な人が出るとすれば、それは、情報発信を怠った長崎県関係者の責任かもしれない。
情報発信のチャネルは、テレビCM、YouTube(ユーチューブ)、インスタグラムなどいろいろあるだろうが、映像では味が分からないので、やはり試食が一番だ。さて、その方法は? 最近の冷凍技術の進歩の中で、よいアイデアを考えついた人がいた。それが「おさかなサブスク」(写真)だ。専用サイト(アクセスは写真のQRコードから)で購入できる。
複数種類の刺し身が、解凍したらすぐに食べられる状態で毎月ご家庭に届く。ぜひ読者の皆さまも取り寄せてほしい。お試しコースもある。これにより、長崎の刺し身の素晴らしさを知る舌の肥えたひとたちが徐々に増え、料理人や消費者や名店が長崎に集結するきっかけになるだろう。しかし、それでも長崎の魚の魅力が世の中に認知されない場合は、県名を「おさかな県」にするしかない。
(Kyodo Weekly・政経週報 2021年12月20日号掲載)
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