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沖縄のコーヒー生産など7事業に  農林水産業みらい基金の助成決定

2021.12.20

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沖縄のコーヒー生産など7事業に  農林水産業みらい基金の助成決定の写真

 創意工夫により課題の克服に挑む農林水産業者を支援する「農林水産業みらい基金」(東京)は20日、2021年度の助成対象事業7件を決定したと発表した。助成総額は7億3527万円。

 この基金は14年3月に農林中央金庫が200億円を拠出して設立。本年度の助成事業は5~6月に一般公募し、全国から計171件の応募があった。

 助成対象に決まった7事業は以下の通り。

 ①【農業】国産飼料用トウモロコシの高度利用による地域産畜産物創造プロジェクト事業地(山口県宇部市)
 飼料用子実トウモロコシや水稲を栽培する農業生産法人「あぐりんく」が中心となり、地域の耕種農家が生産するトウモロコシの飼料製造を拡大するため「やまぐち国産飼料用トウモロコシ高度利用化センター」を建設。品質維持・向上を図って効率的、安定的な大量製造や幅広い畜種への継続的な給餌を可能にし、耕畜連携による地域産の自給飼料から山口産畜産物の生産機能を構築することを目指す。

 ②【農業】「人」と「農地」を未来につなぐ持続可能なコーヒーベルトの整備事業( 沖縄県豊見城市)
 沖縄のサッカークラブ「沖縄SV」が、世界的メーカーから種子提供などのサポートを受け、事業モデルを確立・普及(産地化)し、生産者の拡大と所得確保、遊休農地・ハウスの有効利用や環境保全も図る。県産コーヒーの味の確立や規格整備を進め、農家ネットワークを強化し、精選所の設置で集約化も図り、沖縄県をコーヒーの一大産地化することを目指す。

 ③【農業】栗でつなごう次代、つなごう食と農ーICT技術活用による生産・流通・販売モデルの構築ー(水戸市)
  鯉淵学園農業栄養専門学校を運営する「農民教育協会」が、茨城県笠間市が栗の産地でありながら、担い手の高齢化、後継者の減少から、市農業公社の栗園管理が主流となり、生産した栗の廃棄も増えているため、圃場監視システムや無人草刈り機を導入したり、豚の飼料として活用したりすることで、生産の活性化と地域特産品の復興を目指す。

 ④【農業】廃食用油を燃料とした環境保全型農業(石川県加賀市)
 循環型農業に取り組む「なっぱ会」が、生ごみなどの堆肥化に加えて資源ごみとして回収されている廃食用油を農業用ハウスの燃料として活用することで、寒冷地での農閑期の新たな生産体制・地域生産システムの構築を図る。同社の主力作物であるキュウリのほか、北陸地方では栽培が困難とされるパプリカの生産体制が構築できる。

 ⑤【林業】木から牛の餌をつくる林業と畜産業のみらいプロジェクト(北海道北見市)
 廃棄物処理業の「エース・クリーン」が、シラカバや柳などの未利用・低利用木材から家畜牛用の粗飼料を製造する蒸煮技術を活かし、研究機関・専門家との研究開発により付加価値化し、低価格・高品質な粗飼料供給を目指す。蒸煮装置の増設による生産規模拡大で安定供給と低価格供給を図り、粗飼料自給率の向上や未利用・低利用木材の需要拡大への貢献も目指す

 ⑥【林業】竹に挑む~里山のみらい~(岐阜県七宗町)
 岐阜県中南部の「可茂森林組合」が、加速度的に増加している竹林被害に対応するため、放置竹林の整備で発生する伐採竹を、灰やにがりと合わせて土壌基盤材としての活用し、収益を森林整備に充てることで持続的な里山整備と里山資源の付加価値化を図る。事業で製造される竹チップや竹パウダーなどの土壌基盤材は、防草・獣害被害防止などで有効性が期待される。

 ⑦【水産業】「愛南の真鯛」が拓く地域の未来~我々にとって真のサスティナブルを実現するために~(愛媛県愛南町 )
 愛南漁業協同組合が、養殖業の現場から排出される発泡スチロール製の養殖ブイなどの量が膨大で、処理費用の生産者負担や加工残さの処理も課題となっているため、環境問題への対応を含む真鯛特化型の研究組織を置き、①漂着プラスチックなどの海ごみ対応②加工工程で出る食品ロス対応などに取り組み、持続可能な産業への発展を目指す。

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