300億円に迫るスマート農業市場 ドローンサービス、栽培支援伸びる 矢野経済研究所予測
2021.10.07
矢野経済研究所がこのほど発刊した市場調査資料「2021年版 スマート農業の現状と将来展望 ~省力化・高品質生産を実現する農業IoT・精密農業・農業ロボットの方向性~」によると、2021年度のスマート農業の国内市場規模は、コロナ禍対応の農林水産省の経営継続補助金が追い風となって引き続き拡大し、事業者売上高ベースで前年度比10.9%増の290億7600万円と、300億円に迫る見込みだ。(写真はイメージ)
スマート農業とは従来の農業技術と情報通信技術をつなぎ、生産の効率化や農作物の高付加価値化を目指すもので、その市場は栽培・販売支援のサービスやソフトウエア、農業用ロボットなどからなる。農機・ドローンなどの本体(ハードウエア)や、農業向け販売時点情報管理(POS)システムは、集計対象に含まない。
20年度の市場規模は、45.6%増の262億1100万円と急拡大した。農地の水管理や畜産業向けといった栽培支援関連のサービス・ソフトウエア、衛星利用測位システム(GPS)関連や農機の自動操舵装置、ドローンサービスなどが伸びた。
22年度以降では、ドローンや衛星画像から得たデータを利用した「可変施肥システム」が期待できるとみている。同システムを使うことで、作物の生育不良の個所だけに肥料を散布することができ、生育のばらつき解消や、余分な肥料・労力の削減につなげる。
21年4月にメーカーの垣根を越えデータ連携を進める「農業API共通化コンソーシアム」が設立されたことから、今後はデータ共有化・連携がさらに進むとみられる。通信技術の進展も加速化し、ロボット農機やリモートセンシング(遠隔感知)も普及拡大する見込みで、27年度の市場規模は606億1900万円と、現在の2倍以上に拡大すると予測している。
スマート農業国内市場規模推移と予測
(21年度は見込み、22年度以降は予測、矢野経済研究所作成)
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