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飲料市場3年連続で縮小へ  消費機会伸び悩む  矢野経済研究所予測

2021.08.11

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 矢野経済研究所がこのほど発刊した市場調査資料「2021年版 飲料市場の現状と展望」によると、21年度の国内の飲料市場規模(牛乳・乳飲料を含む、メーカー出荷金額ベース)は、前年度比1.4%減の4兆7000億円と、3年連続で縮小する。夏の旅行シーズンや帰省時期に4度目の緊急事態宣言が発出されていることなどから、飲料の消費機会が伸び悩むためとみている。

 この調査で飲料とは、アルコール度数1%未満で、ペットボトルや缶、紙容器などに入り、そのまま飲用できるものを指す。具体的には炭酸飲料、コーヒー飲料、ミネラルウオーター、果汁入り飲料、各種茶系(日本茶、紅茶、ウーロン茶等)飲料、スポーツ・機能性飲料、栄養飲料(エナジードリンク含む)、飲用牛乳類、色物乳飲料、乳酸菌飲料、ドリンクヨーグルト、豆乳など。

 20年度の飲料市場は前年度比6.6%減と2年連続で減少し、4兆7650億円と5兆円を割り込んだ。19年度が7月の記録的な冷夏などからで5年振りに縮小(1.5%減)したことや、東京五輪効果も期待されるため、20年度は拡大が見込まれていたが、新型コロナウイルス感染拡大によって大幅な下落となった。

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(グラフ:飲料市場規模の推移、矢野経済研究所作成)


 コロナ禍を受けた市場動向をみると、消費者のライフスタイルが大きく変わり、それに伴い飲料の飲用スタイルも変化した。従来は小型ペットボトルを中心にオフィスや外出先、催事用の飲用といった、屋外での止渇需要の掘り起こしが重要だった。

 しかしコロナ禍での外出自粛、家庭内(巣ごもり)需要拡大の影響で、自動販売機やコンビニ、駅や学校、オフィス近隣などの販売店中心に売り上げが減少した。

 一方で売上高が増加したのが、家庭内消費や備蓄需要の高まりを捉えた量販店やスーパーマーケット、ドラッグストアなどである。家庭用では割安感のある大型容器の販売が伸び、店舗への来店頻度を減らすためのケース購入など、まとめ買いが目立つようになった。コロナ禍のため通信販売も大きく伸びている。

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