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キリシタン「潜伏の地」を訪ねて  世界遺産・黒島の集落  陣内純英 西海みずき信用組合理事長

2021.05.31

キリシタン「潜伏の地」を訪ねて  世界遺産・黒島の集落  陣内純英 西海みずき信用組合理事長の写真

 今年のゴールデンウイークは、旅行を我慢して巣ごもりした方が多いかと思うが、コロナ禍が収まったらぜひ長崎県を訪れてほしい。

 おくんち・精霊流し・ランタンフェスティバルなどのイベント、長崎の夜景やハウステンボス「光の王国」、新鮮な魚介・ちゃんぽん・佐世保バーガーなどのグルメは有名だが、全国に34ある国立公園のうち二つ、全国に23ある世界遺産のうち二つが長崎県にあることをご存じだろうか。

 世界遺産の一つが「明治日本の産業革命遺産 製鉄・製鋼、造船、石炭産業」。旧グラバー住宅、端島炭坑(通称「軍艦島」。映画のロケ地となり、テレビにも度々登場)、三菱長崎造船所などのいくつかの設備が含まれる。

 もう一つは「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」。こちらには、長崎の定番観光スポットの大浦天主堂も含まれるが、構成資産の多くは、心理的にも交通面でも簡単には行きにくい「潜伏」の地にあるのが特徴だ。佐世保市の黒島もその一つ。

 黒島の来訪者数は、コロナ前でもせいぜい年間6000人。軍艦島のおおむね50分の1程度だ。筆者も写真集などで紹介されている黒島天主堂(写真=筆者撮影)を一度見てみたいと思いつつも、二の足を踏んでいた。

 しかし、佐世保市在住3年、地元の世界遺産を訪れない訳にはいかぬと、一念発起して出かけることにした。まずは、欠航のリスクを避けるため天気予報を確認し、日を決めた。その上でWEBサイトから教会見学の事前予約。その際「教会堂は祈りの場であることを認識し、見学マナーを守る」ことを誓った。

 島に渡る港は、佐世保港ではなく、郊外の相浦港。乗り遅れると日帰りできなくなるので余裕を持って出かけた。フェリーは、約50分で黒島港に。港から歩いて30分程度で黒島天主堂に着いた。

 予約したにもかかわらず、どなたもいなかったので勝手に見学させてもらった。お昼も事前に電話予約しておいたので、新鮮な刺身定食を味わえた。周到な計画のかいあっていい旅行ができたと思ったのだが、ちょっと甘かった。

 昼食の後、おかみさんから島の話を聞いた。江戸時代は島に8地区があり、うち六つがキリスト教地区。お店は仏教徒の地区にあり、前の公園が踏み絵の場所だったとのこと。幕末、大浦天主堂の外国人神父のもとを島の代表がひそかに訪ね、黒島に多くの信徒が潜んでいることを伝えたことなどを聞いた。

 そういえば、世界遺産の構成資産は「黒島天主堂」ではなくて「黒島の集落」だ。天主堂見物だけでは世界遺産を知ったことには到底ならなかったのだ。聞けば島民のガイドさんと島を歩くツアーがあるとのこと。次回は、ガイドさんをお願いして「黒島の集落」のことを深く教えていただこうと思った。

 このように黒島だけでも奥が深いが、平戸の聖地(2カ所)や五島列島の集落(3カ所)も控えている。巡礼者となる覚悟でゆっくり巡ることにしたい。

(Kyodo Weekly・政経週報 2021年5月17日号掲載)

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