「食料安全保障指標」日本は9位 英誌エコノミストのランキング
2021.02.26
英誌エコノミストの調査部門であるエコノミスト・インテリジェンス・ユニット(EIU)が公表した食料安全保障指標(Global Food Security Index)の最新版(2020年)によると、日本は調査対象の113カ国の中で9位だった。食料の購買力や食品の品質・安全性で高く評価された。(写真はイメージ)
EIUは、各国の食料安全保障の水準を、「価格の手ごろさ」、「物理的な入手のしやすさ」、「品質・安全性」、「天然資源・回復力」の4つの大項目で数値化し、100点満点で評価した。日本は77.9点で前年の21位から大きく浮上した。新型コロナウイルスの感染拡大の影響が、欧米と比べると小さかったことも順位を押し上げた。首位はフィンランド(85.3点)。113カ国の平均は60.45点で、2年連続で悪化した。
上位をみると、2位アイルランド(83.8点)、3位オランダ(79.9点)と続き7位まで北欧を中心に欧州が占めた。8位はイスラエル(78.0点)、10位はスイス(77.7点)だった。下位は、経済の破綻、内戦、政治の混乱で深刻な食料不足に悩むアフリカや中東諸国で占め、最下位はイエメン(35.7点)だった。
米国は11位(77.5点)、韓国は29位(72.1点)、中国は39位(69.3点)。農業大国であるオーストリアは31位(71.3点)、ブラジルは50位(64.1点)で、いずれも気候変動による生産面への不安定さがマイナス評価となった。
EIUは、12年に食料安全保障指標を開発。評価大項目として今回新たに「天然資源・回復力」を追加し、食料の輸入依存度、災害のリスク管理、人口動態予測などが評価基準に加わった。性的平等、所得再分配も小項目に加えた。
この結果、前年首位だったシンガポールは19位に転落した。EIUは指標の連続性を保つため、「天然資源・回復力」を加えた修正版を作成しており、それによると19年の修正順位は、日本は9位、シンガポールは18位だった。
指標作成リーダーのプラティマ・シンEIU上級コンサルタントは、国際農業ジャーナリスト連盟(IFAJ )との2月19日の記者会見で「評価手法に大きな変更があった」とし、「気候に関連した要素が加わったことが重要であり、調査対象国の優位点や弱点を明確にし、政策や行動に反映できる」と述べた。
調査開始後18年まで一貫して改善していた世界平均が2年連続で悪化したことについては「49カ国の指標が弱体化しており、新型コロナウイルスの感染拡大によって、地球規模のフードシステムの脆弱性があぶり出され、貧困ライン以下で生活している人たちにより厳しい影響を与えている」と懸念を表明した。
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