就農控え「経営計画」披露 日本農業経営大学校が卒業研究発表会
2021.02.10
農業経営者育成の専門教育機関である日本農業経営大学校(東京都港区、堀口健治校長)は10日、本年度卒業予定の15人による「卒業研究発表会」を開いた。
卒業後に取り組む予定の農業の具体的な計画について、採算性や地域への貢献といったポイントを交えて15分ずつ発表。同校幹部・有識者ら5人の審査員が、発表者と質疑も行い、講評した。
15人はこの後、卒業式を経て各地で就農する。前年度までの卒業生86人の進路は、実家の経営の継承、農業経営体の幹部、実家での新事業立ち上げなどさまざまだという。
同校の学生はゼミに所属して食や農業にかかわるビジネスモデルの提案など、各自の関心に沿った調査研究に取り組む。在校2年の集大成として、卒業後に農業を実践する上で必要となる経営計画を作成し、卒業研究結果として発表している。
この日の審査員は以下の5人。
▽公益財団法人流通経済研究所名誉会長 上原征彦氏(審査委員長)
▽JA総合営農研究会副代表 黒澤賢治氏
▽(株)クリエイティブ・ジャングル代表取締役 竹林陽一氏
▽(有)ジェイ・ウイングファーム代表取締役・アグリフューチャージャパン副理事長 牧秀宣氏
▽農林中央金庫営業企画部部長代理 南雲亮志氏
発表者とテーマ(氏名、就農予定地、「テーマ」:内容)は以下の通り。
▽近松 知幸(熊本県)「自社ブランドの確立と販売戦略 ~顧客の思いに応えるミニトマトを~」:親元の農家でうまみ成分と栄養価の高いミニトマトを生産し、ブランド化を図る
▽松本 遼大(三重県)「房どりミニトマトの販売戦略 ~市場調査と消費者意向調査より~」:就農先のミニトマト生産企業で、消費者調査を基にした販売戦略を構築する
▽角 吉彬(岡山県)「新規就農の成り上がり」:岡山県真庭市で新規独立し野菜やブドウを生産。就農を促す情報発信も
▽網倉 泰介(山梨県)「御坂を継ぐ ~産業、文化、歴史の継承~」:山梨県笛吹市で果物の生産品目、販売経路を再構築
▽境野 建太(埼玉県)「Billion farmer story ~職育×集団農業~」:埼玉県本庄市で農業集団を形成、若者への職育普及を図る。「セルフヘルスケア市場」にらみ野菜生産
▽山本 凌生(広島県)「香りで紡ぐ地域の未来 ~豊かさの先にある農業経営~」:広島県尾道市瀬戸田町に就農し、かんきつ類を栽培。香るグリーン花材も提案したい
▽篠塚 翔吾(千葉県)「自分とお客様のwant を繋げる」:就社先のフリーズドライ事業として、ドライフルーツを使う美容ドリンクセットの製造・販売を図る
▽白井 涼輔(茨城県)「米一粒が奥久慈の明日を創る ~減少を続けるコメ消費の新たな可能性~」:茨城県大子町で新たな農地を利用し、水稲と露地ナス栽培で新規独立
▽児玉 光世(宮崎県)「生産者兼フローリストだからできる新たなビジネスモデル ~地域と花業界の発展に寄与~」:宮崎市で親元へ就農。赤字のバラ事業はロス削減や直接販売で再構築
▽近藤 伸哉(大阪府)「圧倒的な鮮度を ~都市近郊から大規模安定供給へ~」:水稲・⾧ネギを主品目に自社便での配送ルート確立も図り、地域の模範となる農業法人目指す
▽松宮 祥(京都府)「ブランド有効活用計画 ~先人達が残した黄金の意思~」:京都府京丹後市で独立就農。親会社と連携し、耕作放棄地活用でコシヒカリ特A目指しコメ生産
▽田中 絢也(宮崎県)「気候変動に対応した持続可能な経営戦略」:宮崎県日南市の大規模ミカン農家で販路拡大図るとともに、代替果樹としてアボカドの試験生産に取り組む
▽木村 亮太(三重県)「山間地茶業の意地 ~地域と連携し関わる全てを発展させてゆく~」:津市で親族の茶葉生産・販売企業を継承。ほぼ全量直売の強みを生かし、茶の実油事業化も図る
▽酒勾 合歓(岩手県)「自然農園ウレシパモシリの放牧養豚と飲食店の経営計画」:岩手県花巻市の実家経営の一部(養豚)を継承。繁殖部門導入や飲食店事業に取り組む
▽松永 泰樹(三重県)「地域の既存価値を最大限に生かした農業経営 ~狩猟×農業で目指す新たな観光農園~」:三重県桑名市で新規就農。狩猟と農業を組み合わせた観光農園で獣害対策に取り組む
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