養液栽培市場22年以降拡大へ 新規参入、政策支援が追い風
2021.01.21
(写真はイメージ)
矢野経済研究所は、養液栽培システムの市場規模が新規参入の増加や政府・自治体の政策支援を背景に中期的には拡大傾向にあり、新型コロナウイルス感染拡大が収まれば2022年に増勢に転じるとの見通しを明らかにした。
20年に発刊した市場調査資料「拡大する施設園芸の市場実態(20年版)」によると、土を使わずに肥料を水に溶かした培養液によって作物を栽培する「養液栽培」は、①施設園芸面積の大規模化の進展、②異業種からの新規参入の増加、③稲作から園芸作物へ転換する産地の増加、④農林水産省の次世代施設園芸拠点整備と自治体による大規模施設園芸団地建設の増加ーなどを背景に拡大してきた。
農業用ハウスや養液栽培システム、制御装置といった養液栽培向けの施設園芸関連資材メーカーの売上高(出荷金額ベース)をまとめた市場規模は、19年は91億1500万円に達した。
しかし20年以降、新型コロナウイルスの感染拡大の影響で大規模施設園芸の新設計画が頓挫しているため、20年(見込み)は前年比2.9%減の88億5000万円になるなど、21年まで2年連続で減少すると予測している。
(グラフ:栽培品目は果菜、葉菜、根菜、果樹、花き類。矢野経済研究所作成)
養液栽培には水・培養液を培地とする「水耕栽培」や、培地に土壌以外の固型培地を使い培養液を必要に応じて与える「固形培地耕栽培」などがある。
これまで市場を牽引してきたのは固形培地耕栽培で、新規就農者を中心にトマト類などの果菜類を中心に導入を増やしてきた。今後は植物工場や大規模施設園芸でレタス類など葉菜類を育てる水耕栽培が増えるとみられている。
養液栽培は天候や病害などによる連作障害を回避できるため、地理的環境等による栽培不適地域における栽培を可能にしたり、装置化・機械化で耕起(土を耕すこと)、除草、土壌消毒などの作業が不要となるため、労働の省力化につながったりする利点がある。
また周年栽培が可能になることで単位面積当たりの生産効率が上がり、農作物の鮮度の高さを維持した出荷も可能になる。
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