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機能性表示食品市場、20年度は11%拡大  生活習慣病予防関連が好調

2021.01.25

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機能性表示食品市場、20年度は11%拡大  生活習慣病予防関連が好調の写真

 矢野経済研究所がこのほど発刊した市場調査資料「2021年版 健康食品の市場実態と展望 ~市場分析編~」によると、2020年度の健康食品市場規模(メーカー出荷金額ベース)は8680億1000万円と、前年度比0.7%増を見込む。

 新型コロナウイルスの影響で、インバウンド(訪日外国人客)需要激減の影響を受けたメーカーがあったものの、顧客在宅率の増加やオフラインの通信販売での新規獲得効率が上昇した。

 品目別では、ダイエット関連やプロテインが大きく伸びている。ビタミンなどの基礎栄養素関連も好調に推移している。

 機能性表示食品は、血圧や体脂肪など自身で計測できる生活習慣病予防関連指標への対策を機能とする商品の需要が好調に推移し、その市場規模は2843億4000万円、同11.8%増と大幅に拡大する見通し。

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(グラフ:機能性表示食品の市場規模推移、矢野経済研究所作成)

 機能性表示食品は健康食品製造・販売企業各社が活発に届け出て消費者庁の受理件数が増加、積極的な商品展開を進めて、市場規模が大きく拡大している。

(写真上:左=小岩井乳業の小岩井 iMUSE(イミューズ)生乳ヨーグルト、右=ニップンのサプリメント貯筋習慣、いずれも機能性表示食品)

 機能性表示食品を種類別にみると、サプリメントは機能性表示内容を押し出し積極的に広告宣伝して主軸商品が売り上げを伸ばす一方、売り上げ規模は小さいが新発売、または販売中の品数が多く、市場の大幅な拡大につながっている。

 生鮮食品も生産者団体やメーカーからの届け出と受理件数が増え、市場が拡大している。一方で一般食品は、受理件数が多いものの商品のライフサイクルが短い傾向があり、市場規模の伸びが緩やかになっている。

 健康食品全体の19年度の市場規模は、8623億円と0.1%増にとどまった。通信販売の市場成長率が鈍化し、年度後半にはインバウンド需要の減少もあった

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(グラフ:健康食品の市場規模推移、矢野経済研究所作成)

 矢野経済研究所は、健康食品市場は当面緩やかな成長基調か横ばいで推移するとみている。主力ユーザー層である高齢者の健康長寿に対する関心の高まりや、定年延長など高齢者の労働力活用が本格化し、健康を維持し動ける身体づくりへの対策、アンチエイジングの意識は、今後も高い状態が続くと見込む。

 中でも機能性表示食品は、機能(保健用途)が今後も拡大し、身体状況に合わせた商品選択の幅が広がり、健康維持のための選択肢として認知が進むことが期待されるとしている。

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