自販機台数ことしは2.4%減へ 新規設置進まず、22年に400万台割れか 矢野経済研究所
2020.12.16
矢野経済研究所がこのほど発刊した市場調査資料「自販機ビジネスの現状と将来展望(2020年版)」によると、20年末時点の自動販売機・自動サービス機の普及台数は405万台と、前年に比べ2.4%減少する見通しとなった。新型コロナウイルスの感染拡大の影響などから、新規設置が進んでいないためだ。(写真はイメージ)
自販機の普及(設置)台数を調べている日本自動販売システム機械工業会によると、19年(年末時点、以下同)の自販機普及台数は前年比2.0%減の414万9100台となった。
調査対象である飲料、菓子、食品の自販機のうち、全体の6割近くを占める飲料では、清涼飲料、牛乳、コーヒー・ココア、酒・ビールの全ての分野で台数減となった。
矢野経済研究所によると、飲料の大多数を占める清涼飲料は、設置場所が飽和状態にあることに加え、自販機の設置・管理を行うオペレーターの収益圧迫や人手不足により、採算が取れない場所への設置の見直しが進み、その結果、飲料メーカーも台数増を図る方針を改め、台数減につながっている。
日本自動販売システム機械工業会の統計では、自販機の微減傾向は近年継続している。
矢野経済研究所は「設置場所の状況を考えると、当面は年率で1%前後の台数減が続いていく」とみており、21年末は400万台、22年末は396万台と予測している。(グラフ:19年までは同工業会データ、20年以降は矢野経済研究所見込み・予測値=同研究所作成)
同調査資料は自販機業界の課題として「台数が減退傾向にある中、1台当たりの収益性の低下や、人件費、物流費、リサイクル処理費など経費負担の増大もあり、自販機のネットワーク化により作業効率や生産性を見直して業界全体の底上げを図ること」を挙げた。
業界の動きでは「大手飲料メーカー系のオペレーターを中心に、ネットワーク化に向けたシステム構築が進む一方、飲料メーカーがスマホアプリと連動した消費者サービスを充実させていることに加え、人工知能(AI)などを導入し、自販機管理の効率化も図っている」と指摘している。
矢野経済研究所プレスリリース 「自動販売機市場に関する調査を実施(2020年)」
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