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健康志向のオイル使ってる?  大手の本格参入で市場拡大

2020.11.16

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健康志向のオイル使ってる?   大手の本格参入で市場拡大の写真

 家庭用食用油市場で、おいしさと健康性が注目されるアマニ油、えごま油、こめ油といった「健康志向オイル」の売れ行きが好調だ。内食需要の高まりに加え、オイルをかけて楽しむ「調味料化」による食習慣が広がるなど、楽しみ方が多様化していることが背景にある。これまで市場をけん引してきたオリーブオイル、キャノーラ油、ごま油に続き、大手各社も一斉に商品ラインアップを強化している。

 えごま油とアマニ油はいずれも、免疫力を高めるといわれるオメガ3(nー3系脂肪酸)を多く含む。オメガ3は生体の維持に必要だが、体内で作ることができず食事で摂取する必要があるとされる。

 日清オイリオグループは9月からえごま油をシリーズでラインアップし、「日清有機えごま油」を発売した。有機栽培された良質なえごまだけを使用。開封後の油を酸化から守る145㌘フレッシュキープボトル(写真左)に加え、気軽に試せる小容量50㌘瓶を同時に発売した。

 同社では「えごま油ユーザーの特性に合わせた商品作りが評価されている」とし、「アマニ油市場拡大の実績もあるため流通各社から期待されている」としている。小容量50㌘瓶も「トライアルユーザー獲得として評価が高い」という。

 また、普段の食生活で自然にえごま油を取り入れたい消費者向けに、マヨネーズタイプ調味料「日清えごま油日和210g」も発売。有機えごま油と、あっさりとしてクセのない「一番搾りなたね油」を使用、独自の製法で卵を使わずにマヨネーズ風味を実現した。

容器・容量のラインアップ拡充


 J-オイルミルズは昨年8月、「AJINOMOTO えごま油」100㌘瓶、「同アマニ油」100㌘瓶を発売、家庭用えごま油に本格参入した。3〜4週間の新鮮なうちに使い切れる小容量タイプだ。

 「手頃な価格と内容量のため、発売以来、エントリー層を中心に好評で販売も拡大」している。また、「味や香りにクセがなく食べやすいため、いつもの食事に手軽に取り入れられる点も支持されている」という。

 今年は、えごま油、アマニ油を「オメガ3」シリーズとし、容器と容量のラインアップを拡充した。また、「店頭での商品の見つけやすさとわかりやすさを向上するため、シリーズ全商品に『オメガ3』マークを表示」し、見た目の分かりやすさを追求した。

 同社は業務用でも9月から「オメガ3」シリーズに「Jえごま油」200㌘鮮度キープボトル(写真右)を加えた。鮮度の維持は1カ月が目安だ。取り扱いやすいパッケージで、飲食店や医療関係、高齢者施設の給食など、主に健康志向のメニューを提供する顧客に提案していく。

こめ油の伸びも期待


 オメガ3が売りのえごま油、アマニ油と並んで注目されるのがこめ油だ。

 家庭用食用油市場で拡大するプレミアムオイルの中でも、こめ油は原料由来の健康イメージから、どんな料理にも使える汎用性のある油として受け入れられており、市場の伸びが続いている。

 J-オイルミルズは2月からこめ油のラインアップを拡充、大容量サイズ「AJINOMOTO こめ油」1000㌘エコボトルを発売した。

 「健康志向の高まりにより、キャノーラ油などからこめ油にシフトする流れが大きい」と分析。「発売以来、目標値を上回る好調ぶりで、消費者ニーズの高さを実感」している。

 日清オイリオグループも9月、「日清こめ油900gポリ」を発売した。「こめ油は大容量化が進んでいるほか、使用メニューも加熱調理が多く、普段のクッキングオイルとしての利用が広がっている」ほか、「健康志向やおいしさの観点から、ちょっと良いものを使いたいというニーズが高まっている」としている。

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 こうした中、昭和産業は9月、「健康こめ油」を発売、こめ油市場に参入した。「こめ油の市場規模は直近5年間で約8倍の約77億円に急成長しており、数年後には100億円の市場規模に到達する」とみる。

 「国内で発生した米ぬかを使用し、国内で搾油した食用油」がうたい文句で、ビタミンE、希少成分「ガンマ―オリザノール」、必須脂肪酸「リノール酸(オメガ6)」を含有し、まろやかな甘みで素材の味を引き立てる。

 「味のある油ということで、お好み焼き粉、たこ焼き粉、天ぷら粉などのプレミックス(調整粉)を使ったメニューを提案していく」としている。

 家庭用食用油市場では、品ぞろえの強化、新たな用途提案などが奏功したオリーブオイルの急成長が続く。

販促で潜在ニーズ掘り起こし


 一方、「えごま油はアマニ油同様、サプリ的オイルの柱として、食用油に対する健康志向をより高める商品に成長させたい」(日清オイリオグループ)考えだ。

 しかし、「アマニ油とえごま油はオメガ3を豊富に含むのが特徴だが、お客さまが求めているものはそれぞれに異なると考えており、ニーズに合わせた商品群で市場拡大を図りたい」(同)とし、商品ラインアップの強化や広告・宣伝もアマニ油と合わせて行う予定だ。

 J-オイルミルズでは「えごま油とアマニ油は購入者当たりの購入金額が高く、購入率が低い品群のため、新規購入者数拡大が課題」だという。

 その上で、「下期はマス・デジタル・店頭での販売促進活動を連動し、潜在的なニーズのあるお客さまにオメガ3シリーズの価値を伝えたい」と意気込む。

(Kyodo Weekly・政経週報 2020年11月2日号掲載)

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