農作業事故体験VRがグッドデザイン賞 JA共済連、安全対策に活用
2020.10.05
全国共済農業協同組合連合会(JA共済連)が開発・運用している農作業事故を仮想現実(VR)動画で体験するシステムが、本年度のグッドデザイン賞(取り組み・活動・メソッド)を受けた。JA共済連が1日に発表した。
この「農作業事故体験VR」は、頭部に付けて視聴するVR機器や専用グラスを取り付けたスマートフォンを使い、農機事故を疑似体験できる。農業・食品産業技術総合研究機構(農研機構)の監修で開発した。
受賞理由は「農作業事故を『自分ごと化』できるVRというコンセプトが事故未然防止に有用」との評価で、賞の審査委員からは「単に映像として見せるだけでなく、VR体験に変える事によって、より具体的に事故を防ぐ事につながることが想像できる」との講評があった。
JA共済連は今年4月から機器を貸し出しており、各地の研修会やイベントでの体験会(写真)で活用されている。
「乗用型農機の転倒」、「歩行型農機の制御」、「さまざまな農機との接触」の3テーマで、360 度を見渡せるVR映像を5種(3~5分)作成したほか、通常の映像も3種(3~6分)も作り、使用してもらっている。
(写真:VR映像「乗用型トラクター転倒編」から)
トラクターのVR動画では、対向車を避けるため路肩に寄り、農地に転落するまでを運転者目線で再現しており、事故の恐ろしさや危険性を体感できるという。
JA共済連によると、国内の農作業事故は年間約7万件と推計され、死亡者は約300人に上る。特に農機使用時の事故は重傷や死亡につながりやすく、防止が重い課題となっている。
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