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コロナ対策で小松菜加工に参入  ネパール出身の野菜農家

2020.09.18

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コロナ対策で小松菜加工に参入  ネパール出身の野菜農家の写真

 新型コロナウイルスの感染拡大で失った需要を取り戻そうと、ネパール出身の野菜農家が小松菜をペーストに加工した新商品を開発し、レストランなどへの販売を始めた。

 株式会社「葉っぴーFarm」(富山県射水市)は、24棟のハウス(計35.7㌃)で小松菜などを生産している。同社のダルマ・ラマ代表(46、写真)は、ネパール生まれの仏画師。日本人女性との結婚をきっかけに2005年7月に来日した。

「元々、農業に興味を持っていた」というラマさん。自宅近くの小松菜農家に出会って栽培を学んでいたが、この農家に後継者がいないことから、3年間の研修を経て17年7月に経営を引き継いだ。

 同社の小松菜は糖度が高く、サラダ用など生で食べられるほど高品質。収穫の3分の1は規格外品としてパウダーなど加工用に回している。農園にカフェを併設して、小松菜料理の試食を兼ねたネパール料理を提供する催事を開くなど、地域に根付いた。

 経営は順調で、今年1月に法人化した。ところが、その直後から新型コロナの感染が拡大。富山県での感染確認者は少ないものの、小松菜を材料にした餃子などの加工を委託していた企業からの注文が停止した。

 そこで、富山県の補助金や日本政策金融公庫のスーパーL資金を活用、約1200万円を投じて自前の加工場を6月に整備。小松菜をペーストに加工して真空包装後に冷凍、富山県内のパンや菓子店、都内のネパール・インド料理店に業務用として販売を始めた。

 スープ、カレー、和え物、ソースなどに使えるほか、栄養価が高いので、高齢者の介護食や乳児の離乳食にも応用できるという。

 ラマさんは「小松菜を中心に農業の技術を磨き、安定した雇用をつくり、人づくりを目指したい」と、コロナ禍に対して積極経営で立ち向かう構えだ。

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