「研究紹介」 ポスト・コロナを先取りする人生 「食と農の邂逅」AFCフォーラム 2020年4月号から
2020.05.25
新型コロナウイルス感染拡大のダメージは、世界の死者が10万人超え、経済面でも1000年に1回の危機といわれたリーマンショック(2008年)どころか、大恐慌(1929年)並みの深刻さとなっている。
たった一つの光明は、行き過ぎたグローバリズムの矛盾がさらけ出され、身近な足元に目が向き始めたことだ。しかしこの反動は、ナショナリズムや一国主義と隣り合わせだ。現実にはどんな方向にいくのだろうか。
日本公庫の月刊誌「AFCフォーラム」が、そんな持続可能な社会づくりを10年以上前から岡山市で実践している夫婦を紹介している。
米国カリフォルニア州のハンボルト州立大学の大学院で同級生だった吉岡修三さんとサラさんは、卒業後に結婚し2005年から岡山県御津の100年の古民家に住み、米や麦を作り、ヤギや鶏や蜂を飼う生活を送ってきた。
08年からは天然酵母と自家製小麦で焼いたパンの販売を始め、18年には岡山市中心にカフェを開設、米粉で焼いたパンや、ブラウニー(チョコレートケーキ)、マフィンなどに品そろえを増やし、ブラウニーだけで週に3000~4000個を製造するというから大変な人気だ。
それでも夫妻の拠点は、今も2ヘクタールの水田と畑だ。最近は自給的な循環農業を目指す若者を受け入れて研修し、周囲で離農する人から畑の管理を依頼されるようになり、今や御津地域の重要な担い手だ。夫について未知の日本にやってきたサラさんの人生を、紹介している。
「農と食の邂逅(かいこう)」は、異業種から農業分野に飛び込んできた素敵な女性を紹介するAFC連載企画。毎回、主人公の笑顔が素晴らしい写真が、とても美しい。