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「書評」農業の成長産業化促し発信  「農林水産法研究」創刊 (責任編集・奥原正明)

2023.04.30

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「書評」農業の成長産業化促し発信  「農林水産法研究」創刊 (責任編集・奥原正明)の写真

 農林水産関係の法律を扱う研究誌「農林水産法研究」が創刊された。責任編集は、元農水事務次官の奥原正明東京大学公共政策大学院客員教授で、日本の農林水産業を健全に発展させ、国際競争力のある成長産業にしていく観点から発信するのが狙いだ。

 創刊号は特集として目下改正に向けた検証作業が進んでいる「食料・農業・農村基本法」を扱い、奥原教授が「基本法の見直しを憂慮する」、大泉一貫宮城大学名誉教授が「食料・農業・農村基本法の検証と新基本法について」の論文を執筆した。いずれも基本法の改正を論理的、客観的に議論し、食料安全保障を考える上で、時宜を得た極めて重要な論文だ。

 また後半では、2022年に制定された農林水産省関係の5本の法律について弁護士ら専門家が執筆している。扱っているのは「農業経営基盤強化促進法等の一部を改正する法律」「農林水産物及び食品の輸出の促進に関する法律等の一部を改正する法律」「土地改良法の一部を改正する法律」「植物防疫法の一部を改正する法律」「環境と調和のとれた食料システムの確立のための環境負荷低減事業活動の促進等に関する法律」。

 それぞれ、法律の内容だけにとどまらず、立法の経緯や背景、国会での審議、解説・コメントまで踏み込んだ専門的な内容だ。類似した書籍・雑誌がないユニークな構成で、研究者だけでなく国や自治体、農業団体、食・農関連企業の関係者にも重宝されることを期待したい。信山社、3000円(税別)