コムギとイネの雑種植物を創生 都立大・鳥取大発表
2021.10.08
東京都立大学と鳥取大学は、コムギとイネの交雑植物を世界で初めて創生したと、10月6日に発表した。今回の研究の結果、コムギとイネの遺伝子資源の相互利用が可能となり、新たな育種技術の確立につながるという。
今後トウモロコシを加えた三大穀物(いずれもイネ科植物)や、他の有用植物を含めた交雑により、新たな優良形質を持つ新作物の作出につながれば、世界的な穀物需要増加に対応できるようになる可能性がある。
(イネーコムギ交雑植物)
コムギとイネの交雑植物の作出に成功したのは、東京都立大学大学院理学研究科のTety Maryenti(大学院生)、岡本龍史教授、鳥取大学乾燥地研究センターの石井孝佳講師。
今回の研究では、コムギとイネの花器官から卵細胞と精細胞をそれぞれ単離し、それら配偶子を電気的に融合させて受精卵を作出する「顕微授精(IVF)法」を使い、多様なコムギーイネ交雑受精卵を作出し、雑種不全を乗り越えるための配偶子の組み合わせを見つけ出した。
論文情報は以下の通り。
<タイトル>
Development and regeneration of wheat-rice hybrid zygotes produced by in vitro fertilization system
<著者名>
Tety Maryenti, Takayoshi Ishii, Takashi Okamoto
<雑誌名>
New Phytologist
<DOI>
DOI: 10.1111/nph.17747