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「レポート」 農業は「支援」対象か 「農の成長、金融への期待」 AFCフォーラム春1号から

2024.04.14

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「レポート」 農業は「支援」対象か 「農の成長、金融への期待」 AFCフォーラム春1号からの写真

 人口が減り続け、有力な企業が少ない地域では、地元の金融機関の多くが成長分野として観光業や農業に目を向けている。日本政策金融公庫の機関誌「AFCフォーラム」の2024年春1号は「農の成長、金融への期待」を特集し、現状と課題を紹介している。

 野村アグリプランニング&アドバイザリー株式会社の遠藤暁 主席コンサルタントは「農業融資分野での地域金融機関の役割」の中で、地銀62行のうち31行が農産物など地元の産品を扱う地域商社を設立するなど、農業の成長産業化に期待していると指摘する。ただ、農業分野の融資は、リスクの評価など農業特有の難しさがあり、著者は具体的な課題として、事業者との連携、目利き力、マーケティングの視点、人材の確保などを挙げている。

 この報告が優れているのは、「金融機関が農業を支援する」という上から目線の固定観念ではなく、地域の金融機関の厳しい経営環境を踏まえて客観的に論じていることだ。地方の金融機関は、少子高齢化や融資先の減少だけでなく、相続に伴う預金の流出や、株式の持ち合い解消の遅れ、人材の流出など多くの課題を抱えている点では、農業と同じだ。

 株式を上場している地方の金融機関のほとんどが、株価が割安かどうかの指標である株価純資産倍率(PBR)が1倍割れどころか、0.5倍割れだ。解散価値を大きく下回り、本誌で優良事例として紹介された3行はいずれも0.3倍前後(3月末)と市場での評価が低い。

 地域の金融機関は、農業を「支援先」ではなく「共に成長するパートナー」という発想に切り替え、農業の潜在的な成長性を投資家に積極的に訴える姿勢が必要だ。その意味でAFC本号のタイトルは「農の成長、金融への期待」ではなく、「農の成長、金融が期待」とするべきだった。