輸出に先駆け卵料理の試食会 千葉県企業、シンガポールでPR NNA
2023.02.28

鶏卵販売を手がけるエムイーシーフーズ(千葉県市原市)と、グループ会社で鶏卵生産・加工業者のパートナーズ(同市)は、シンガポール向けの鶏卵輸出に先駆け、シンガポール中心部で食品・飲食業界、メディアの関係者らを集め、卵を使った料理を提供する試食会兼事業説明会を2月20日に開き、約50人が参加した。(写真=NNA撮影、以下同)
試食会では卵かけご飯(下の写真)、ぶっかけうどん、カヤトースト(ココナツなどを煮詰めたジャムを挟んだトースト)、茶わん蒸し、牛丼の5種類を半熟卵を付けて提供。家庭でも卵を使ってもらいやすいメニューを中心に選んだ。参加者からは「品質が高くておいしい卵だ」「とてもなめらかな食感だ」といった声が聞かれた。
エムイーシーフーズとパートナーズの2社は、シンガポール向けの鶏卵輸出を早ければ5月ごろに始める。参画する日本産鶏卵の輸出促進の取り組み「パートナーズ輸出コンソーシアム」の一環だ。
シンガポールは食品庁(SFA)が認定した施設で生産したものしか、輸入を認めていない。パートナーズが千葉県木更津市に持つ直営鶏卵農場は2021年、食品庁から認定施設として承認を受けた。日本国内で同庁から認定された鶏卵農場としては8例目となった。
2社が出荷するのは、卵臭さが少なくて甘みが濃い「地養卵」。地養素と呼ばれる特別な飼料で育てられた鶏が生んだ卵だ。
2社はシンガポール向け輸出に向け、鶏卵の生産・販売を手がける現地のN&Nアグリカルチャーとビジネスパートナー契約を結んだ。月に40フィートコンテナ1個分の輸出を目指す。
N&Nは地養卵を現地スーパーに卸す予定。N&Nのマー・チンチュー最高経営責任者(CEO)によると、同社はマレーシア、タイなど海外産の卵を輸入しているが、日本産鶏卵を扱うのは初という。
エムイーシーフーズはこれまで、香港や米国向けに鶏卵を輸出した実績を持つ。現在は日本で鳥インフルエンザの感染事例が出ていることを受け、一時的に出荷を停止しているが、シンガポール向けは早くて5月ごろの輸出開始を見込む。
需要高まる日本産
日本養鶏協会によると、22年の日本産鶏卵の輸出先は香港が最も多く、これに台湾、シンガポールが続く。金額ベースでは香港が全体の93%と大半を占める。
シンガポールの割合は2%にとどまるが、前年比では13%増の1億4728万円と順調に伸びている。農林水産省はシンガポール向け輸出額を25年に5億円とする目標を掲げている。
シンガポールでは衛生の観点から、卵は加熱して食べるのが一般的で、日本のように生卵を食べる文化がほとんどない。ただ近年の日本食ブームを受けて生卵を使った料理などが注目を集め、日本の衛生的で生食可能な鶏卵の需要が高まりつつある。
エムイーシーフーズ営業企画部の小寺隆弘部長はNNAに対し、「シンガポール輸出の開始に向けて19年から取り組みを始めた。パートナーズ輸出コンソーシアムを活用することで鶏卵の生産から輸出、販売までの商流構築を具体化しやすくなる」と説明した。
シンガポールでは、朝食メニューの定番であるカヤトーストに半熟卵が付いてくるなど、卵が多く食されている。エムイーシーフーズによると、現地の消費者1人当たりの年間卵消費量は平均388個で、日本の同337個を上回る。小寺氏は「卵の消費量が多いシンガポールに地養卵を届けたい」と意気込みを語った。将来的には卵焼きなど鶏卵の加工商品も売り込みたい考えだ。(NNA 清水美雪)
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