ベトナムでチョコパイ生産 ロッテ、韓国オリオンに挑む NNA
2023.02.24

ロッテはベトナム南部ビンズオン省に新工場を開設し、3月からチョコパイの現地生産に乗り出す。ベトナム国内で規模が拡大しているチョコパイ市場は、韓国の製菓大手オリオンがシェアの66%を握る。日本のチョコパイ市場で先頭を走るロッテがオリオンの寡占市場に切り込み、「日韓戦」を挑む。
新工場はロッテの現地法人ロッテベトナムがビンズオン省ミーフック工業団地にある地場製菓大手ビビカの工場を買収し、既存の生産ラインに新設備を導入して開設した。投資額は非公表。
敷地面積は4万平方㍍。半生ケーキの「チョコパイ」と食感の異なる「ブッセ」の2種類を「ショコラ(CHOCOLAT)」の商品名で国内販売する。いずれも希望小売価格は6個入りが150円相当、12個入りが300円相当で、競合他社の商品と同水準に設定した。
現地で23日開かれた開所式には、ロッテ日本本社から牛腸栄一社長(写真中央)が乗り込み、地元メディアの前で「ベトナム市場はグループ全体にとって、東南アジアにおける重要投資国だ」と強調。菓子市場での地盤拡大へ継続投資を行う方針を示した。
ガムで国内トップシェア
ロッテベトナムは1996年設立で、98年にビンズオン省でガム製造工場の操業をスタート。看板商品の「キシリトールガム」は2016年からガム部門のブランドシェア首位を維持しており、同社の売上高の48%を占めている。タイ工場で生産する「コアラのマーチ」や「トッポ」などのチョコレート菓子、日本で生産する「雪見だいふく」や「クーリッシュ」などのアイスクリームの輸入販売もしている。
米系調査会社ニールセンによると、国内チョコパイ市場では韓国オリオン傘下のオリオンフード・ビナがシェア66%を握り、ロッテベトナムの山田暁大社長は「まさしくガリバーと言える存在」と話す。オリオンフード・ビナは22年の売上高は過去最高の4億㌦(約539億円)余りで、ひしめく国内勢を引き離して国内最大の製菓メーカーとなっている。
山田氏は絶対王者に真っ向勝負を挑むことに「非常に高いハードルだが、自信はある」と語る。
ベトナムで売られているチョコパイは、高温な気候を考慮して、パイ生地の中に生クリームではなく、マシュマロを入れるのが普通で、その点では差別化が難しい。ロッテは繊細で高級感のあるパッケージデザインなどで、独自色を出すという。ブッセは国内市場に類似商品がないため、「違いを強調できる商品だ」(山田氏)と説明。王道のチョコパイと合わせて、二本軸で市場開拓を進めていく考えだ。
25年に売上高30億円目標
英調査会社ユーロモニターによると、国内の半生ケーキの市場規模は358億円(2022年)で、年平均10%以上の伸びを続けている成長市場だ。オリオンがけん引する格好でチョコパイの市場は拡大を続けている。ベトナム菓子市場の攻略を目指すロッテにとっては、「この流れに乗らないわけにはいかない」(山田氏)との判断から追加投資に踏み切った。
ショコラの今年の販売目標は10億円。25年には30億円までに引き上げることを目指す。山田氏は「ベトナムで『ナンバー1の総合菓子メーカー』になる目標にまい進していきたい」と意気込んだ。(NNA)
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