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台北で「いばらき大見本市」  食品と観光売り込み  NNA

2023.02.06

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台北で「いばらき大見本市」  食品と観光売り込み  NNAの写真

 茨城県の大井川和彦知事は5日、台北市内で開幕した県主催の「いばらき大見本市」に出席し、タレントの渡辺直美さんとともに県産食品と観光のトップセールスを行った。茨城県が海外で見本市を主催するのは初めて。商談会なども含めた海外プロモーションとしては、過去最大規模になるという。台湾政府による茨城県産を含む5県産食品の輸入規制措置の緩和や往来の正常化を受けて、台湾向けの食品輸出と観光客の呼び込みを強化したい考えだ。(写真:大井川知事=右から2人目=と渡辺直美さん=左から2人目=、NNA撮影

 大井川氏はオープニングイベントで「新型コロナウイルス禍が落ち着きをみせ、往来が活発化してきたことを受けて、台湾の人たちに茨城県を知っていただきたいという気持ちで見本市を開催した」と説明した。観光資源については、台湾人観光客がコロナ前によく訪れていた国営ひたち海浜公園のネモフィラやコキア以外に「偕楽園のウメやいばらきフラワーパーク、牛久大仏といった見どころがたくさんある」と紹介。県産食品については「リンゴやサツマイモ、牛肉をはじめとする肉、魚、野菜、フルーツが豊富。日本酒も楽しんでもらいたい」と強調した。

 台湾の格安航空会社(LCC)、台湾虎航(タイガーエア台湾)が3月から台北(台湾桃園国際空港)と茨城県との直行便を再開することにも触れ、今後の往来の増加に期待を示した。

 オープニングイベントには台湾で生まれ、茨城県で育ったタレントで宣伝大使を務める渡辺さんも出演した。渡辺さんは茨城県について「食べ物だけでなく自然も豊かで海もある」とアピール。また「このうち食べ物では、毎年新しい商品が出たりと魅力を発信していく力がある」と紹介した。

 午後には渡辺さんがトークライブを開催。米国での生活を含む近況についてユーモアを交えて紹介し、会場を沸かせた。後半には大井川氏と茨城県に関するクイズも実施し、来場者と交流。正答者にはペア宿泊券などを含む賞品が贈られた。舞台前は、渡辺さんを一目見ようと駆けつけたファンで身動きがとれないほど混雑した。

商談会も開催


 いばらき大見本市の会場には県産品と観光の40ブースとキッチンカー5台、イベントステージを設置。県産品ブースでは干し芋や蓮根どら焼き、抹茶ケーキ、地酒などの試食提供や販売を実施しているほか、観光ブースでは市町村や台湾虎航などと連携した春の観光情報PR、旅行商品の販売を行っている。(写真:NNA撮影)

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 IT企業で働く台湾人の林さん(28)は、茨城県に1度訪れたことがあり「広大な景色が印象に残っている」。一方で茨城県の食べ物についてはあまり知らなかったといい、「コーヒーを試飲したら香りが良くて驚いた。ほかの商品も知りたい」と笑顔を見せた。

 イベントステージでは誘客に向けて茨城県の特色をPRするためのイベントを毎日開催する。5日にはトークライブのほか、アンコウのつるし切りやあんこう鍋の試食提供をする「あんこう解体ショー」も実施。6日には優勝者を水戸で開催される本戦に招待する「水戸納豆早食い世界大会 in 台湾」を開催。

 いばらき大見本市は9日まで台北市の松山文化創意園区(松山文創園区)で開催。隣接する会場では6~8日に「いばらき大商談会」も行う。約40社・団体が参加し、3日間で約100社の台湾企業と事前マッチングによる個別商談を実施する。

 台湾虎航は茨城―台北線の運航を3月に再開する予定。木曜日と日曜日の週2回、往復する。台湾虎航はコロナ前にも茨城と台北を結ぶ直行便を運航。多くの台湾人が団体ツアーで茨城県を訪れていたが、コロナの感染拡大を受けて運行を停止していた。大井川氏は当時を振り返り「友好関係を発展させようとしていただけに残念だった」と語った。

昨年から台湾向け強化


 茨城県は昨年から、台湾向けPRを強化。8月上旬には台北市で開かれた台湾最大級の食品見本市「台湾美食展」に初めて出展。県特産の農産品や地元企業が手がける加工食品を台湾の消費者にアピールした。台湾が新型コロナウイルス感染症の水際対策を緩和した直後の11月上旬に台北市で開かれた台湾最大規模の旅行展示会「2022台北国際旅展(ITF)」にも参加していた。

 台湾政府は昨年2月、2011年の東京電力福島第1原発事故後から続けてきた茨城、福島、栃木、群馬、千葉の5県産の食品輸入規制措置を緩和。一律の輸入禁止措置を廃止し、5県からはキノコ類と野生鳥獣肉、コシアブラを除いて、放射性物質検査報告書と産地証明書の添付などを条件に輸出が可能になった。

 観光面では、昨年1013日から台湾入境時の隔離を撤廃し、7日間の「自主防疫」のみとする措置を開始。これにより海外から台湾に戻った後に隔離を受ける必要がなくなった。一方で日本政府は1011日から外国人観光客の個人旅行を解禁。1日当たり5万人としていた入国者数の上限も撤廃した。(NNA)

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